【映画】ファイナル・デッドコースター(ネタバレ感想・考察)

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【映画】ファイナル・デッドコースター(ネタバレ感想・考察)
(C) MMVI New Line Productions, Inc.
目次

作品の概要と感想とちょっとだけ考察(ネタバレあり)

ハイスクールの卒業記念に訪れた遊園地で、予知夢によってジェットコースター事故から逃れたウェンディたち。
しかし、死を免れたはずの10人は、次々と恐ろしい死を遂げていく──。

2006年製作、アメリカの作品。
原題はシンプルに『Final Destination 3』。
まさか3作目でジェットコースター事故が出てくるとは思わず、ジェットコースターは何の関係もない2作目で『デッドコースター』の邦題をつけてしまった担当者は3作目を観て真っ青だったでしょうね、みたいなことは5作目『ファイナル・デッドブリッジ』の記事にも書きました。

それなら「ファイナル」をつければいいじゃない、ということで、その後のシリーズ作が『ファイナル・デッド~』という邦題で続く礎を築いた作品でもあります。
その分、『デッドコースター』だけがちょっと浮いてしまいました。

『ファイナル・デッドブラッド』公開記念シリーズ再マラソン。
ちょっと間が空いてしまいましたが、3作目である本作もn回目の再鑑賞をしました。
安定して大好きです。

本記事には、後続の作品も含めたシリーズ他作品のネタバレも含まれるのでご注意ください。
前作『デッドコースター』については、以下の記事をご参照ください。

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1作目のジェイムズ・ウォン監督が帰ってきた3作目。
まぁ、正直に申し上げまして、特に改まって書くこともないんですよね

とか言いながらだらだら書いてしまうのがこのブログの特徴ではありますが、本作の感想を一言で述べれば「潔い」

とにかく潔いのです。
1作目『ファイナル・デスティネーション』のストーリーを膨らませて見事続編に仕立て上げた2作目『デッドコースター』。
さて、3作目はどうなるのかと思いきや。

ストーリーを捨てるという英断

これにより、後続シリーズの方向性が定まったと言えるでしょう。
ストーリーはおまけだと。
ド派手なピタゴラ死こそこのシリーズの要だと。

しかし、この判断は個人的にはまさに英断だと思います。
このような作品は、後付けストーリーを複雑にするほど、シリーズを追うごとにめちゃくちゃになりかねません。

本作がストーリーを捨てピタゴラ死に振り切ったことで、その後のシリーズの安定が保証されたと言っても過言ではないでしょう。
マンネリであっても、新しくド派手なピタゴラ死を見たい。
そんな中毒患者を大量に生み出すことになり、それがシリーズの安定した人気および評価に繋がっていると感じます。

ストーリーを捨てたので、死神メカニズムの解明も速攻です。
もはや最初のジェットコースター大事故の直後の時点で、ケヴィンが言及していましたからね(この時点ではウェンディは信じませんが)。
まだ死のリストの回収を始める前に言及されてしまい、死神もさぞや焦ったことでしょう。

焦りもあってか、あるいは2人がジェットコースター事故で死んだのが同時だったからか、最初の犠牲者は2人同時という新パターン。
日焼けサロンにおけるアシュレーとアシュリン(頭はちょっと弱そうだけど根は優しそうなギャル2人。名前も似ている)の壮絶ながら笑ってしまう死に様は、シリーズの中でも屈指の印象を残してくれました。

さらにはこのシーン、2人が焼け死んだ日焼けマシン2台が、一瞬で棺桶2つに切り替わります。
この演出、天才だと思いました

そしてその後は、実にワンパターン

ウェンディとケヴィンが死のリストの順番に忠告しに行く
→信じてくれない
→そのままピタゴラ死

が、ひたすら繰り返されます。
これもまた潔い。

過去作は、信じる者と信じない者に分かれたり、集団行動をしたりしていましたが、今回はほぼ順番に死んでいくだけ。
みんな同級生だっただけで、もともと仲が良かったりしたわけではなさそうなので、仕方ないでしょうか。

忠告しに行っては目の前で死ぬので、もはやウェンディとケヴィンが死神に見えてきます
フランキー(変態)以降、全員の死を目撃したことになるので、だいぶトラウマになりそう。
その割には、5ヶ月後のラストシーンではすっかり吹っ切れたような顔をしていましたが。

ピタゴラ死は、3作目ということもあってか、フェイント度が増していた印象です。
あらゆる物が伏線に見えてくる演出は、あまりにも巧み。
「どれだどれだ?」とわくわくさせておいて「それか~」と思わせてからの、実はそれでは死なず、助かったかと思いきやバーン!

派手さのインフレかと思わせておいて、エリン(一番影の薄かった、イアンの彼女)が釘をぷすぷす撃ち込まれて死ぬシーンなどは、地味な嫌さもありました。
もはや死ぬしかないのであれば、せめてバーン!で一瞬が良いです。

潔いのでまったくキャラの背景が深掘りされない本作において、一番キャラが濃かったのはイアンと言っても差し支えないでしょう
シザーハンズみたいな見た目も印象に残りますし、笑い方もだいぶやばそう、だけれどけっこう情けない言動も多いという、ひたすら変態というかもはや性犯罪者でしかなかった上に雑に死んでいったフランキーと並び、本作では個性強めなキャラ。

そんなイアンは、それなりに頭も切れました。
「死のリストの最後の人間が自殺すれば、他の人間は助かる」という、「確かに」と思わせるトンデモ理論を打ち立てます。
リスト通り順番に殺さないと発狂してしまう、死神の律義さを逆手に取った戦法です。

とはいえもちろん、そんな選択はできないウェンディ。
最後のお祭りでしょっぼい花火に紛れてウェンディのもとを訪れたイアンは、彼女を殺そうとしていたのでしょうか。

しかし、哀れイアンは看板により惨死してしまいました。
明らかに頭から看板が襲い掛かっていましたが、下半身だけがぐちゃぐちゃになるというアクロバティックな死に様で、最後まで爪痕を残してくれました。

しかしこのシーン、重要な考察ポイントが残されています。
なぜこのタイミングで、イアンが死んだのか

ウェンディによってイアンの死が回避され、次のエリンが釘ぷすぷすで死にました。
その後は、ジュリー(ウェンディの妹)とその友達、そしてケヴィン、ウェンディの順番だったはずです。

シリーズを通して、死神は強迫的なほどリストの順番にこだわります
その死神が、順番を守らないわけがありません。
それなのになぜ、一旦死のリストを回避したはずのイアンを、その後のリスト消化中に殺したのか。

考えられる可能性の一つは、実はイアン → エリンの順番でイアンの死を回避したから次のエリンが死んだわけではなく、エリン → イアンの順番だった、というもの。
そうであれば、普通に順番通りエリンが死に、次がイアンだったとしても納得がいきます。

いえ、これもおかしいです。
なぜなら、イアンが死ぬ前にジュリーが死を回避し、ジュリーの友人が死んでいるからです。
実はリストの順番がエリン → ジェリーと友人 → イアンであったというのは、座席順的にあり得ません。

しかもこれは、死亡順でも否定されます。
よく観ると、逆さになってぶら下がったとき、エリンよりも先にイアンが落ちているのです。
そんなところも地味に情けない。

残る可能性は一つ。
「イアンがウェンディを殺そうとしていたので、死神が焦った」しかありません。

イアンがウェンディを殺したら、ウェンディが自殺するのと同じ。
死のリストは無効化されてしまいかねません。

それを阻止するためならば、リストの順番を入れ替えるのも何のその。
かくして、イアンが先に殺されてしまったのでした。

しかし、実はこれも矛盾があります。
やむを得なければリストの順番を入れ替えても良いのであれば、ウェンディが先に死んでも問題がないからです。

死神によりもたらされた死ではなく、他の人間によって人為的に殺されるのは禁忌なのかもしれません。
ですがこの点は実は、5作目『ファイナル・デッドブリッジ』では、他者を殺すとその相手の寿命が手に入るという新ルールが明かされました。
なので別に、禁忌ではないはず……というところまで考えるとキリがないので、3作目時点では想定になかったその新ルールは置いておいて。

他者に殺されると都合が悪かった、ということにしておきましょう。
それはそれで「じゃあ何でウェンディの死に関するヒントがイアンを示唆していたのか?」という疑問が生じますが、あのヒントの解釈が正解だったとも限りません。
リストを入れ替えると死神業務の人事考課の査定に響くため、極力回避したかったのかもしれません。

いかがでしょうか。
特に書くこともないと言いながら、明らかにどうでもいいポイントをねちねちと考えだらだらと綴るこの才能、恐ろしくないでしょうか。

ラストシーンは「やっぱりね~」ではありますが、冒頭レベルの大事故を2回も描いた点は見逃せません
ジェットコースターと地下鉄の大事故でサンドイッチされている贅沢な作り。
しかも、地下鉄の事故もウェンディは予知します。

しかし残念ながら、予知した時点ですでに時は遅し。
ここは死神の執念深さと意地悪さが滲み出ていました。
死のリストを回避されたことが、さぞ悔しかったのでしょう。

この執念深さと意地悪さは、1~2作目の死神とは異質な印象を受けます。
1作目で死を回避した主人公アレックスたちも結局死にましたが、ここまでド派手でもなく、再度予知したのに間に合わないタイミングという意地悪さも窺えません(まぁ予知は死神とは関係ありませんが)。
アレックスなんて、レンガで死ぬという地味さでしたからね。

これらからは、1~2作目とは別の死神の関与が想像されます。
もしかしたら、新人の死神だったのかもしれません。
だからこそ、途中で焦りが見えましたし、最後もイライラが爆発してしまったのでしょうか。

などと無駄に深めて考えるのも楽しいですが、頭を空っぽにして楽しむべき愛しのシリーズ。
順番が前後していますが、このブログで取り上げていないのは4作目『ファイナル・デッドサーキット』のみとなったので、こちらも近々再鑑賞したいと思います。

ちなみに、本作のDVDには「選べる!死に様マルチ版」というバージョンがあり、再生中に表示される選択肢によって死に方やストーリーが変化するそうです。
もともと色々なパターンを撮っていたから活用したのかと思いますが、それにしても気合の入り方がすごい。

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