
作品の概要と感想(ネタバレあり)
ホラーDVD「本当にあったガチ恐投稿映像」シリーズを制作する編集マンの江尻とオカルトライター鬼頭の元に様々ないわくつきの映像が届く。
倒産した映画会社の倉庫で発見されたいわくつきのDVD。
自称世直し系動画が迷惑者を懲らしめるという名目で廃ビルを探索する生配信。
お笑い芸人とグラビアアイドルによるどこか奇妙な街歩き番組。
編集マンとしての知識や持ち前の洞察力で動画の裏に隠された秘密を推理していく江尻とそれを見守る鬼頭だったが──。
2024年製作、日本の作品。
人気のテレビドラマの劇場版。
以下はドラマ版『この動画は再生できません』シーズン1~2のネタバレも含みますが、まぁネタバレといっても「鬼頭さんが死んでいる」ぐらいしかありませんし、劇場版も冒頭から当然のように幽霊前提で話が進んでいくので、特にネタバレを気にする必要もないでしょう。
そもそもテレビ版を観ずに劇場版を観たという人もそれほど多くなさそう。
一応、以下では鬼頭さんを殺した犯人についても軽く触れているので、ご注意ください。
さて、気軽に観られるホラーミステリィな『この動画は再生できません』シリーズ。
シーズン3まで放送されている現時点でのシリーズの順番としては、
1 → 2 → 劇場版 → 3
となります。
それほどストーリー性はありませんが、少しずつ江尻くんと鬼頭さんのエピソードが進んでいくのも魅力なシリーズ。
2人のキャラの魅力は大きく、これが好きで観ている人も少なくないことでしょう。
個人的には、かが屋は特に好きでも嫌いでもなく、シーズン1を観始めた当初はややコントっぽさを感じる演技があまり馴染めませんでしたが、今となってはこの2人の掛け合いが好きです。
このブログは基本、キャラは呼び捨てで書いていますが、この2人はついつい「江尻くん」「鬼頭さん」と書きたくなってしまいます。
シーズン1の1話を観始めた頃はもっとホラー路線かと思っていましたが、ホラーテイストが加わりつつもミステリィがメインのコメディ、が適切でしょうか。
映像の謎解きはリアルというよりコナンくん的ですが毎回面白く、ホラーテイストもあるとはいえ怖くもないので、位置づけとしては『変な家』などの雨穴作品のような間口の広さがあり、それが人気の一要因でしょう。
小説家の綾辻行人もお好きなようです。
さて、そんなシリーズのまさかの(?)劇場版ですが、良くも悪くもドラマ版の延長として楽しめました。
それほど変化があるわけではありませんが、複数の動画が1本に繋がったり、最後には江尻くんと鬼頭さんが現場に駆け、かつての知り合いである犯人を追及するところなどは、ドラマ版とは異なる新鮮さがありました。
冒頭の映像「冬の空」は、最初は「何か間違えたかな?」と思うぐらい、作り込まれていました。
絶妙に演技が下手だったり、映像がチープだったりするところまで含めて作り込みだと思うので、そのあたりはさすがです。
フェイクドキュメンタリーパートは正直ムラが大きい本シリーズですが、劇場版はさすがに3つの動画それぞれがテイストも異なり、気合が入っていた印象です。
パープルおばさんと彼女のもとに突撃する自称世直し系配信者というのは、現代っぽい要素が取り込まれていました。
私人逮捕系とかも、一時期ちょっと話題になっていましたもんね。
この2本は、独立してそれなりに謎解きがなされます。
いつも通り動画を1本ずつ謎解きしていくのを繋げただけかな?と思いきや、3本目の散策ロケの映像ですべてが繋がる構成は見事で、映画ならではの作品に仕上がっていたと思います。
真犯人の現カメラマンで過去には監督もやっていた塚原は、自作のために出演者を殺し、さらには事件現場を守ってくれていた(?)パープルおばさんことナツミの記憶が戻ったのでナツミも殺害するという、はちゃめちゃ自己中キャラでした。
あべこうじは、名前は聞いたことがありながらも初めて見ましたが、胡散臭さ大爆発で良かったです。
過去に江尻くんに影響を与えた存在だったのでシリアス要素もありましたが、プロジェクタ起動に手間取る江尻くんを助けるシーンは、緊張感が崩壊する面白さがありながらも江尻くんのことをよく知っていて可愛がっていた様子が窺えて、好き。
真相はまぁいつもながら無茶があるので、視聴者参加型で謎解きを楽しんだり考察をするというよりは、江尻くんと鬼頭さんが謎を解く(謎解きはほとんど江尻くんですが)様子を見るのを楽しむ作品であると思っており、映画版もそれが踏襲されていた印象です。
パープルおばさんみたいな人は、心理学を専門としている身としてはまずその背景に思いを馳せてしまうので、現実的にはだいぶ飛躍した設定とはいえ、ただの変な人で終わらなかったのは良かったです。
何でアキラ100%?(笑)と思いましたが、彼のお盆がしっかりと謎解きに活かされていたところも好き。
怪談師の人は、思わせぶりな演出をしておいて、結局まったくと言っていいほど鬼頭さんの死や今回の事件には関係していなかったところはやや拍子抜け。
今後のシリーズで何か回収されるかもしれませんが、いやでも鬼頭さんを殺したのは中華屋店主でしたし、さすがにないかな。
本シリーズは動画編集の様子が見られるのも楽しいですが、江尻くんの部屋はだいぶグレードアップしていました。
あの狭く暗い仕事場も好きでしたが、劇場版の舞台としてはやや狭苦しいのも確か。
シーズン2では事件を解決して実績もできた(というより有名になった?)ので、少しは余裕ができたのでしょう。
だいぶワーカホリックっぽいところは心配。
上述した通り、2人が現場に駆けつけたところも新鮮でしたが、鬼頭さんの水平移動は笑いました。
シーズン2の終盤に登場した梅田さんは、何かちょっと雰囲気も変わっていましたし、キャラも強くなっていて、大活躍。
苦手なタイプではありますが、ああいう強引な人がいると物語が動かしやすくなると思うので、シーズン3も活躍しそう。
映画館で観るべき作品だったかというとやや微妙ではありますが、シリーズ初の長編として魅力を損ねず途中でだれることもなく、うまくまとまっていたのではないかと思います。
これを書いている現時点ではシーズン3も放送済みなので、どこまで続くかはわかりませんが、引き続き楽しんでいきたいと思います。

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