【映画】ファイナル・デッドサーキット 3D(ネタバレ感想)

  • URLをコピーしました!
【映画】ファイナル・デッドサーキット 3D(ネタバレ感想)
(C)MMV New Line Productions, Inc. All Rights Reserved.
目次

作品の概要と感想(ネタバレあり)

大学生のニックは、サーキット場で白熱するレースを楽しんでいた時、予知夢を見る。
1台のクラッシュを皮切りに後続車が次々巻き込まれ、飛んできた車体の残骸によってスタンド席も惨劇の舞台と化すのだ。
悪夢から覚めたニックは、周囲の観客を強引にサーキット場の外へ連れ出すが──。

2009年製作、アメリカの作品。
原題は『The Final Destination』。
邦題は正確には『ファイナル・デッドサーキット 3D』ですが、以下では『ファイナル・デッドサーキット』と書いていきます。

『ファイナル・デスティネーション』シリーズ4作目。
本記事には、後続の作品も含めたシリーズ他作品のネタバレも含まれるのでご注意ください。
前作『ファイナル・デッドコースター』については、以下の記事をご参照ください。

あわせて読みたい
【映画】ファイナル・デッドコースター(ネタバレ感想・考察) (C) MMVI New Line Productions, Inc. 作品の概要と感想とちょっとだけ考察(ネタバレあり) ハイスクールの卒業記念に訪れた遊園地で、予知夢によってジェットコースタ...

『ファイナル・デッドブラッド』公開記念シリーズ再マラソンによるn回目の再鑑賞で、順番は前後しましたが、これでシリーズ6作すべてこのブログで取り上げたことになります。

4作目となる本作ですが、自分としては正直一番影が薄く、シリーズの中では一番評価が低いです
『ファイナル・デスティネーション』シリーズは大好きなので、あくまでもシリーズの中では、ですが。

なので今回も特にそれほど書くこともないのですが、改めて振り返ってみましょう。

まず注目すべきは、タイトルでしょう。
原題では、3作目まではすべてシンプルにナンバリングで来ていましたが、本作で初めて『The Final Destination』と変化球に。

これは、ある種リブート的な側面もあったのかもしれません。
シリーズの順番で観る必要はほとんどない本シリーズですが(小ネタ的には順番の方が楽しめますが)、タイトルがナンバリングで続いているだけで、手を出すのに躊躇してしまう新規の観客もいるでしょう。
『ファイナル・デッドコースター』以上にほとんど過去作の事件の話が出てこないことからも、新規層のハードルを下げる意図もあったのではないかと思います

もう一つ、3D作品であったことの影響も大きいでしょう。
『ソウ』シリーズでも、6作目まではナンバリングで進んできたのに7作目だけ『SAW 3D』となったので、3D作品は敷居を下げる意味でもナンバリングではないタイトルに変えることが多かったのかもしれません。

内容に関しては、潔さは前作『ファイナル・デッドコースター』からほぼ変わりません。
冒頭の大事故からの、あとは順番に死んでいくのみ。
その潔さは82分という短さにも現れており、新ルールなどもなく、新たなピタゴラ死を楽しむだけの作品です
マンネリと感じる人もいるでしょうが、多くのシリーズファンが求めているものを理解しているとも思います。

展開は、良く言えばシンプル、悪く言えば雑の極み。
ツッコミどころ満載なのはシリーズ通しての共通項で、もはや様式美ですが、その中でも本作はかなり細部が適当です。
大事故で立ち入り禁止になっているであろうサーキットに、今でも警備員が常駐しているのも謎(しかも老朽化しすぎて崩れるかもしれないのに)ですし、そんな環境で防犯カメラの映像をしっかりと監視しているジョージ、真面目か。

「僕たち助かったね」な判断も祝杯も早すぎました。

後半には少しだけツイストがありました
最後にまた予知夢を見て、大事故のサンドイッチとなる構成は『ファイナル・デッドコースター』とほぼ同じですが、映画館での大事故の予知夢がまたド派手。
何なら、サーキットの大事故を過去作の冒頭大事故に比べるとちょっと物足りなく感じてしまったのですが、それも計算だったのでは、とすら思えるほど。

映画館事故の予知夢で、エスカレータに脚を挟まれたローリ。
脚を挟まれた瞬間に口から血を吐くのが、メカニズムがわからなさすぎて好きです
しかも血は黒っぽかった気がしますし、もしかしらたらローリ、悪魔に取り憑かれていたのかも。

展開がさらにシンプルに(雑に)なった分、なぜかヒントの提示は情報量が増えており丁寧でした。
とはいえ、あれだけで死因を予測し回避するのはどう考えても難しいですが。
主人公のニックは歴代主人公の中で一番影が薄かったですが、予知の才能はシリーズ内でもトップレベルだったかもしれません。

作品の肝であるピタゴラ死は、さらにフェイントが増えていた印象です
すべてが怪しい……これで死ぬのか……いや死ななくて、全然違うのでバーン!パターンがさらに加速。
そのせいか、ピタゴラスイッチの華麗さはかなり失われてしまっていたように思います。

一方で、プールの排水溝に内臓を吸われたハントや、ガスボンベに吹き飛ばされて柵の形状にトコロテンされたアンディ、床が抜けて落ちてきたバスタブに潰されて死んだジョナサンなど、「そうはならんやろ!」なエンタメ度合いが増した派手さは好きでした。

ただ、これは『ソウ ザ・ファイナル 3D』なども含めた3D作品全般に言えることなのですが、3Dを意識したであろう手前に飛んでくる演出が目立ち、それが2D映像で観ると違和感に感じられてしまいました。
プラス、3Dに予算を割いている都合なのか、CGを多用するようになった都合なのか、チープさが強まってしまっていた点もマイナスポイント。

まぁ3D作品なんだからそれを活かしたいというのはわかりますし仕方ありませんが、わざわざシリーズ作品の新作を急に3Dにする必要があったかどうかは疑問です。
そもそもこの時期の3Dブームは何だったんだろうな、とも思ってしまいますが、こういったチャレンジが業界全体の技術を底上げしていくのでしょう。

登場人物たちも過去作以上に薄っぺらいというか、ほとんどが他人同士なので、誰がどんなキャラだかよくわからないまま、区別もつかないままに退場していきます
そのあたりも潔い。

唯一、警備員だったジョージがだいぶ協力的で、根は良い人っぽかったですが、飲酒運転で妻子を死に至らしめてしまったというのは、うん、まぁ、上では「真面目か」とは書きましたけれど、だいぶフォローのしようがありませんね。
その割にまだ断酒しきれていなかったり(専門職なので依存症離脱の難しさは理解していますが)、死の筋書きを回避できないと悟ったらすぐ自殺しようとしたりと、共感はしづらかったですが人間っぽさは一番強かったかもしれません。

とまぁ、シリーズの中でも尖った部分はだいぶ尖っていつつも、全体的な印象は薄めの本作ですが、それらをすべて吹き飛ばすほどの威力で魅力を放っていたのが、冒頭およびラストのレントゲン映像でした

過去作品における死をレントゲン映像で再現するという発想、天才です。
助かったと思われた主人公たち数人が逃げ切れていなかったというラストも、何の捻りもなく過去作の踏襲ですが、それもレントゲン映像で演出したことで、とんでもなくスタイリッシュな終わり方となっていました。

最後に、本作はシリーズ6作品の中では唯一、トニー・トッドが出演していない作品でもあります。
最初の2作に登場し、3作目は声だけだったので、4作目である本作で出演がなくなったのも不自然ではなく、順番に観ていた初見時はそれほど違和感がなかったはずです。
ですが、5作目で復帰し6作目で遺作の出演となったことを知っている今となっては、登場しないことに寂しさや物足りなさを感じてしまいました。

続く5作目『ファイナル・デッドブリッジ』の感想は以下になります。

あわせて読みたい
【映画】ファイナル・デッドブリッジ(ネタバレ感想・考察) (C)2011 NEW LINE PRODUCTIONS, INC. 作品の概要と感想(ネタバレあり) (C)2011 NEW LINE PRODUCTIONS, INC. 橋の崩落事故を予見したサムは危険を知らせ、間一髪で8人...
【映画】ファイナル・デッドサーキット 3D(ネタバレ感想)

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

SNSでシェアしていただけると喜びます
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次