
作品の概要と感想(ネタバレあり)
『Not Found』×『ほんとにあった!呪いのビデオ』。
ふたつの人気シリーズのスタッフが結集した、究極のホラー・ドキュメンタリーが誕生。
死をもたらす画像、いわゆる“死画像”をテーマにした恐怖の心霊動画集。
衝撃的な内容を含む映像もございますので、くれぐれも自己責任でご鑑賞ください。
2015年、日本の作品。
厳密には映画ではないかもしれませんが、せっかく鑑賞したので残しておきます。
ちょうど先日観た『ほんとにあった!呪いのビデオ』のスタッフも関わっているという、タイムリーな1作。
『Not Found』の方は、観たことはありませんが聞いたことはある程度。
本作を手掛けるアムモ98は、『ベニー・ラブズ・ユー』のBlu-rayやDVDの発売元にもなっているようです。
さて、本作は以前から「クニコ」が怖い怖いと聞いていたので観てみたかったのですが、なかなか機会がありませんでした。
今回YouTubeにおいて1ヶ月限定で無料公開され、この機を逃さずようやく鑑賞。
2026年は『死画像』からスタートしました。
繋がりはない短編6作から成る作品ですが、全体の感想としてはとにかく、古き良き心霊映像感があって良かったです。
1作10分程度の短さで、心霊の背景の説明などはほぼ皆無という潔さもgood。
チープなCGっぽさは否めないので合わない人には合わないというより面白くないでしょうが、心霊映像系の作品はもはや一大ジャンルと言っても過言ではないと思うので、細かいツッコミポイントを様式美と捉えて楽しめる人なら十分楽しめる1作でしょう。
個々の作品に目を向ければ、やはり「クニコ」が秀逸で、この作品に注力されているのは明白でしょう。
何となく隙も多い5作で油断させておいたところで本気の「クニコ」をぶつけてきて、不穏なブルーバックを垂れ流してそのまま終わる。
そんな構成も見事でした。
ただ、「クニコ」がとにかく完成度が高く人気なのもわかりますが、個人的には「心霊テスト」が好きでした。
霊が映り込む系より、ああいう地味ながらもじわじわと不気味な感じが好き。
以下、簡単に個々の感想を。
01 錯死霊
もう廃校という舞台が最高ですね。
夜の廃校を歩き回っている映像だけで満足できると言っても過言ではありません。
そして定番の七不思議ではありませんが、学校にかつて伝わっていた不気味な話。
勝手に廃校に忍び込み、かつての心霊話を探ってしっかり心霊現象に出会うという、自業自得のお手本のような展開です。
斬新なのは言うまでもなく、ペラッペラな二次元幽霊。
Aには見えるけれどBには見えていない、という状況は、霊感の有無ではなく角度の問題かもしれない、という目から鱗の発想を教えてくれました。
タイトルの「錯死霊」というのは「錯視」とかかっており、正面からだと見えるけれど横からは見えない霊のことを指しているのでしょうか。
錯視とはちょっと違う気がしますが、何もいないじゃん……と思ったらいた、というパターンの新たな描き方が好きでした。
02 死の報告者
自主映画団体の打ち合わせ中に起こった悲劇。
様子のおかしい見知らぬ男性が突然部屋に入ってくる、という状況が怖かったです。
しかし自分は臨床心理士として仕事をしているので、怖いよりも先に「何か精神疾患とかかな、何だろうな」と自動的に考え始めてしまう悲しみ。
それはさておき、謎の彼は「死の報告者」として助監督の富岡の死を知らせに来ただけだったのでしょうか。
防犯カメラの映像で富岡に向かっておいでおいでをしていた霊?と同一人物だとすると、彼が死を呼び込んだわけなので単なる報告者とは言えなくなりますが、いずれにせよ彼が何だったのかは一切わかりません。
余談ですが、富岡が轢かれた道もよくわからず、大学の構内だったように見えたのですが、違いますかね。
そうだとすると、トラックの運転手は「富岡の姿が見えなかった」と話していたようですが、そうだとしてもあのスピードで走っていたのはそもそもけっこう危ない気がします。
トラックに撥ねられてばいーんと吹き飛ぶ富岡の姿は、ちょっと笑ってしまいました。
03 霊感テスト
「自己責任」という定番の注意文が流れるところも含めて、これぞ、といった1作。
派手なことは一切起こらず、じわじわと怖さが喚起されるところが大好きでした。
単に時間を稼ぐため、というメタ的な考えが浮かんでしまうのが悲しい性ですが、女性の後ろ姿が映る前の、ドアが開く映像の意味不明さも好き。
女性が1人で座っている診察室の状況も謎すぎます。
映像が切れる直前、女性がさらにこちらをちらっと見るような細かさも見逃せません。
あのまま映像を観続けたらどうなるのか?
観たい……!という気持ちにさせておいてあっさり封印するところも憎い。
人柱になるのでぜひ観せてください。
04 歌声
毎夜毎夜、夜中1時に歌いながら通り過ぎる男性。
そりゃあ迷惑すぎます。
しかし、それに対抗して「脅かしてやろう」という発想。
若いですね。
この作品のピークは、実際に聞こえてきた夜中の歌声でした。
その後映り込んだ黒いもやもやに不気味な顔は、あれだけはっきり映ってしまうとちょっと醒めてしまうタイプです。
ビデオカメラ映像と携帯カメラ映像が同時に流れている演出は好きでしたが、そんなに意味なかった。
インタビューシーンでは、投稿者の友人の長谷川くん(白シャツ)の髪型が気になって話が入ってきませんでした。
制作側からのメッセージ「寂しいなどと言っている場合ではない」のド正論も、おまいう感があって好き。
この「歌声」と次の「貫通」が、ザ・心霊映像といった感じでした。
05 貫通
出だしはPOVホラーのようでめっちゃ面白そう……!と思ったのも束の間。
めちゃくちゃ険悪そうなカップルのインタビューを経て映った心霊映像は、何とも言えないものでした。
幽霊の顔は最初ただ浮いているように見えて、貫通していたのかどうかはよくわかりませんでしたが、タイトルからもナレーションからも貫通していたのでしょう。
彼女が静止した際、カメラが妙に胸元に寄っていったのは謎すぎましたが、まぁたまたまですかね。
真っ暗な中、赤外線モードに切り替える臨機応変さは評価したい。
POVホラーといえば、赤外線モードです。
逃げ出してしまったのも、実際にあんなシーンを目撃したら仕方ないとも思います。
お風呂場に逃げるのは逆に追い詰められてしまう気がしますが、パニック状態であればこれも仕方ありません。
ただ、放って逃げられた彼女が怒るのもごもっとも。
許可も得ずに映像を投稿したのは、フォローしようがありません。
心霊現象以上に、転がり込んできて同棲しているという彼氏と、深夜(?)におつまみを買いに行かせようとする彼女がどちらも何とも言えず、かつ気まずく険悪な雰囲気が妙にリアルでした。
06 クニコ
というわけで、やって参りました「クニコ」。
ここまでの作品は前座かつクニコを引き立たせるために存在していたんだ、と言わんばかりにぶつけられる渾身の1作。
正直に言えば、「クニコ」だけ有名すぎたのでハードルが上がりまくり、それを上回りはしなかった感は否めません。
とはいえ、本作の中で群を抜いていたのは間違いありませんでした。
内容は実にシンプルで、それも良い。
存在しない同級生、出所が不明のニュース。
ベタさもありながらもやはり不気味で、『フェイクドキュメンタリーQ』に通ずるような雰囲気も感じられて好きでした。
ニュース映像の及川くに子の写真の変化も、ぎりぎり抑えめで絶妙。
そしてその後、約9分にも及ぶ乱れたブルーバックの映像は、だいぶ攻めています。
このまま終わるのかと思いきや、観続けた人へのご褒美とばかりに最後にワンカット。
ブルーバックは長かったですが、それこそDVDなどで観ていたら、何だか不安になってきそうです。
YouTubeだとシークバーで先が見えてしまうので、ちょっと相性は悪かった気がしました。
広告が入るのもまた然りですが、もちろん無料で公開してくれるのは感謝しかありません。
『死画像』の冒頭では、「本シリーズの末巻には死をもたらす可能性がある画像 いわゆる『死画像』が収められています」という警告が流れますが、これがブルーバック後のワンカット(を指しているのでしょうか。
及川くに子の写真かとも思いましたが、あれはニュース映像なので、「画像」扱いするのはちょっと違う気も。
それとも及川くに子の写真が死画像、という意味なのか。
個人的には、ブルーバック後の画像を指していたのだろうと考えました。
ただこれも及川くに子でしょうし、ワンカットとは言いましたがこの短い間にも変化しているように見えますし、そもそも及川くに子という存在が謎なので、及川くに子の写真自体が呪物的なモノだったのかもしれません。

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