【映画】フォービア2/5つの恐怖(ネタバレ感想・考察)

映画『フォービア2/5つの恐怖』のポスター
(C)2009 GTH ALL RIGHTS RESERVED.
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作品の概要と感想とちょっとだけ考察(ネタバレあり)

(C)2009 GTH ALL RIGHTS RESERVED.

『フォービア/4つの恐怖』の大ヒットを受けて製作され、前作以上のヒットとなったオムニバス・ホラー。
「見習い僧」(監督:パウィーン・プーリジットパンヤー)非行少年が嫌々出家して修行僧となるが、そこで餓鬼の霊の怒りを買ってしまう。
「共同病室」(監督:ウィズート・プーンウォララック)事故で足を怪我して入院した少年が病室で味わうおぞましき恐怖体験。
「バックパッカー」(監督:ソンヨット・スックマークアナン)日本人バックパッカーのカップルが、ヒッチハイクしたトラックの積み荷は生きた死体だった。
「中古車販売」(監督:パークプム・ウォンプム)事故車を扱う中古車ディーラーが体験する衝撃の一夜。
「最後に」(監督:バンジョン・ピサンタナクーン)『双生児2』の撮影現場で起こった信じられない出来事。

2009年製作、タイの作品。
原題も『Phobia 2』で、タイ語では『ห้าแพร่ง』。

タイ語タイトルは、ローマ字表記にすると「Ha Phraeng」で「Five Crossroads」を意味するようで、やはり前作の『フォービア/4つの恐怖』の感想に書いた「4つの交差点」といった意味合いは合っていたようです。
ちなみに「ha」はタイ数字の「5」。

というわけで、『フォービア/4つの恐怖』に続くタイのオムニバス・ホラー
『4BIA』という秀逸なタイトル(こちらも前作の感想をご参照ください)を捨ててまで1作増やし、全5作でトータル126分と2時間超えの作品に。
しかし、いざ鑑賞してみれば、しっかりとパワーアップしていて、毛色が異なり個性溢れる作品を5作も楽しめるのが贅沢に感じるほどでした。
それはやはり、好き嫌いはあれど、いずれも完成度が高くハズレがないからでしょう。

相変わらず『世にも奇妙な物語』感が強く、怖さに特化しているというよりは、ゾッとしたり突飛な世界観が繰り広げられます。
しかし、前作以上に各監督の個性が感じられたというか、シチュエーションや世界観はより独自性の強いものとなっており、やはり短編ホラーは長編ホラーとは違った楽しさがあります。
前作を担当した4人の監督のうち、ヨンユット・トンコントーン監督だけは本作では監督としての作品はありませんが、製作には名を連ねていました。

2008年に『フォービア/4つの恐怖』、そして2009年に本作『フォービア2/5つの恐怖』が立て続けに製作されて以降止まってしまっていますが、近年、再びタイホラーが熱い気がするので、『フォービア3/6つの恐怖』が製作される日を心待ちにしたいと思います。

短編なので、細かい導入は省いて半ば強引にでも早々とその世界観をスタートさせ、その枠組みの中での恐怖を描いているので、時には笑ってしまうような場面も多々。
そこを含めて楽しむものだと思っているので、前作以上にツッコミ甲斐もありますが、また1作ずつ簡単に感想を。

「見習い僧」(監督:パウィーン・プーリジットパンヤー)

とんでもない。
いきなりとんでもない
これはもう、冒頭のバイクのシーンの、癖が強すぎる音楽とカメラワークで気づきましたよ。
前作の「報復」の監督じゃないか?と。

見事に当たっていて笑ってしまいましたが、前作では勢いで押し切るスプラッタ黒魔術を展開してくれたパウィーン・プーリジットパンヤー監督。
本作を観て、「こんな抑えた作品でもできるんだ……!」と幅の広さを感じました(若干失礼かもしれませんが、「報復」の勢いがすごすぎたので)。
しかし、パウィーン・プーリジットパンヤー監督は少年の非行を扱うのが好きなんですかね。

本作における主人公の少年ペーは、髪を剃っても不良っぽさ丸出しでした。
眉毛まで剃っていたからかな、と思ったのですが、よく見たらお坊さんたちみんな眉毛なかった
日本のお坊さんは眉毛までは剃っていない気がします。
文化差なのか、宗派なのか。
ペーが頭を丸めても不良っぽかったのは、目つきの悪さが原因でしょうか。

とはいえ、ペーは粋がったり反抗しながらもけっこうすぐにビビったり、泣き喚いて逃げ出そうとしたり、言われた通り素直に祈祷したりと、根っこの部分はまだ少年らしい純粋さや気弱そうな様子も窺えました。

そんなペーは、友達とバイクから車に石を投げるという悪ふざけで父親を殺していまうという重大事件を起こしてしまいました。
冒頭の母親との会話からすると、事件の隠蔽というか、警察に見つからないようにするために寺院に隠しに連れてきたっぽいですね。
何というか、殺人事件になっているので捕まれば大変なことになってしまうのは間違いありませんが、親の対応としてそれで良いのでしょうか、お母さん
ビンタするほど愛しているにしてはピントがずれている気がしてなりませんが、ペーの父親と、つまり夫婦関係は良好ではなかったようなので、まぁ逃してあげたいという気持ちもわからなくもありません。

そんな導入はさておき、森の中の寺院での生活。
いや、もうこれ、このシチュエーションだけで恐ろしいというか、畏怖を感じます。
現代っ子な非行少年を、森の奥深くにある寺院に放り込むというシチュエーションだけでもうホラーとして勝っていました(何に?)。
人間のちっぽけさを思い知らされる圧倒的な大自然。
『女神の継承』からタイホラーにハマった身としては、これぞタイホラー!と思うような見事なシチュエーション。
終盤、紐で繋がった僧侶たちが祈祷していたのも、「『女神の継承』で似てるの見た……!」とテンション上がりました。

展開としては、序盤でいきなり餓鬼が姿を見せたのは意表を突かれました
ペーの視点とリンクしているような、ちらっと見えただけで、ペーが目を逸らした瞬間にカメラからもフェードアウトするカメラワークが見事でした。
ホラーゲームに出てきそうなデザインで、いわゆる餓鬼っぽくない気もしましたが、背が異様に高いから高所にお供え物をしていたという設定も面白い。

その後も、緩急をつけた演出がとても巧みでした
先ほど「抑えた作品」と表現しましたが、あくまでも前作の「報復」と比較しての印象であって、本作においても「ここで!?」という感じで急加速するシーンが多々あり、個性の強さが感じられて好き。
ただ、音の使い方が独特なので、BGMや効果音なのか、作中で起きている音なのかわかりづらい場面もありました。

しかしまぁ、ペーはあの場所に来た経緯も、その後も言いつけを守らずに好き勝手動いたのも、自業自得パターンではありますが、さすがにかわいそうでもありました。
新入りなのに何も教えてくれないし、1人部屋で放っておかれてるし。
神出鬼没の兄弟子は、思わせぶりなことしか言わないし。
果ては「仕方ない。カルマだ」で見捨てられちゃうし
さすがにまだ半分子どもですし、いくら「何があっても動じるな」と言われても、あれで動揺するなという方が無理があるってものです。

終盤に石をぶつけられたのは、石を投げたことで父親を殺してしまったり、それ以前にも同様の行為をしていたと思われるので、因果応報でしょうか。
尋常じゃない強さで石が顔に当たりまくるシーン、エグいですが好きでした。
最後はペーが餓鬼になったようで、もはや訳のわからない、さすがパウィーン・プーリジットパンヤー監督だぜと思わされてしまう強引で予想の斜め上な終わり方でしたが、仏教の六道においては生前の悪行によって餓鬼道に落とされてしまった亡者が餓鬼なので、結局は悪いことをしていた自分のせいという、最後まで自業自得な展開だったのかな、と思います。

「共同病室」(監督:ウィズート・プーンウォララック)

いやもうこれも怖いって。
横に寝たきりのおじいさんがいるだけで怖いって。
「意識ないから個室と同じですよ」じゃないんですよ

しかし、なぜ寝たきりのおじいさんが怖いのでしょう。
冷静に考えると、ただ失礼なだけな気がしてきました。

それはやはり、病院という場所が大きく影響しているでしょう。
そもそも夜の病院は独特で不気味な雰囲気が漂っていますが、病院は「死」が近い場所であるから、というのが大きな要因として考えられます。
そして、寝たきりで意識もなく、人工呼吸器だけで生きながらえているおじいさんというのは、まさに生と死の狭間にいるような存在です

そんなおじいさんが動いているように見えたり、あからさまに怪しいお見舞い客が来たりすれば、不安になるのも当然でしょう。
しかも、主人公の少年アーティットは、両脚を怪我しており自由に動けないというハンデも背負っていました。
ちなみに、冒頭はアーティットの事故の様子が描かれていたっぽいですが、何でどう事故ったのかまったくわかりませんでした。

そんなアーティットくんですが、ちらちらと、わざわざ点滴の道具を駆使してまで、隣を覗こうとします。
ある意味、彼は好奇心によって、必要以上に怖い目に遭っていたとも言えます。

しかし、隠されると見たくなってしまうのが人間というのもの
禁止されるとかえって興味や関心が高まってしまう現象を心理学用語で「カリギュラ効果」と言いますが、「鶴の恩返し」なり、禁を破って罰を受ける逸話は世界中で枚挙にいとまがありません。

本作では別に禁止されていたわけではありませんが、カーテンで覆われている寝たきりの人を覗き込むというのは、暗黙の了解で良くないことであると言えるでしょう。
それによって、お見舞いの品に伸びる手を目撃してしまったりと、恐ろしい場面を多々目撃してしまうアーティットくん。

しかし、ホラー演出はスタンダードながら、状況が限られているので、寝たきりのおじいさんを何とかあれこれ動かすしかありません
かといって完全に動き出してしまうと物語を大きく動かさないといけなくなるので、ちょっと動いては「見間違いだったかも」「気のせいだったのかも」「夢だったのかも」など、なかったことになる、の繰り返し。
おじいさんも色々な動き方で頑張っていましたが、音でのジャンプスケアに頼らざるを得なかった印象も受けました。
ちょっと笑ってしまいましたが、アーティットの胸の上に立ってたところとか、好き。

しかしまぁ、問題は最後ですよ。
車椅子で信者の間を進むドヤ顔アーティットくんの意味がまったくわかりませんでしたが、あれは血を流し込まれたことなどによって、教祖の魂に身体を乗っ取られたというか、彼が教祖化したということなのでしょう。
最後、実に悪い顔をしていやがりましたね。

新人看護師は知らない、あるいはわかっていないっぽかったですが、病院にいるほぼすべての人間が信者のようだったので、おそらく最初から仕組まれていたのだと考えられます
そう考えると、別に隣のベッドを覗こうが覗くまいが関係なく、あの病院に運び込まれた時点でアーティットの運命は決まっていたのでした。
アーティットの親と揉めるのでは?と思いますが、きっと実際は親に連絡などもいっていなかったのでしょう。

「バックパッカー」(監督:ソンヨット・スックマークアナン)

色々な意味で、本作、いや、『フォービア/4つの恐怖』『フォービア2/5つの恐怖』を通したすべての中でも異質な1作。
この作品だけオカルト・心霊ものではなく、ヒトコワ系かと思わせておいて、まさかのゾンビでした

タイトルも、他の短編はみんなタイ語のタイトルの中、本作だけは「Backpackers」と英語。
そして何より、まさかの古き良きチャラ男とギャルみたいな風貌をした日本人カップルの登場
しかもがっつり日本語で話しており、これには『ムカデ人間』のカツロー以来の驚きを隠せませんでした。

しっかりと日本人が起用されているのは嬉しいのですが、タイ育ちだったりタイを拠点に住んでいたりするのでしょうか、日本語が若干不自然なのか、失礼ながら演技が下手なのかの区別が難しかったです。
と思って調べてみたところ、女性はAkiko Ozekiという日本とタイのハーフの方のようでした。

正直なところ、車に乗せてもらった直後、「もしもしお母さん?元気だよ。お母さんは?でさぁ、魚もいっぱい、いたんだよ」などと訳のわからない内容を子どもかのように舌足らずに話している姿は、殴りたくなるというか、早く痛い目に遭ってくれて構いませんよというか、あまりにもイライラするトーンで、「何でそんな演技になったんだ?」と突っ込まざるを、おっと失礼、何でもありません

さて、その辺は目を瞑り、死体を大量に乗せているヒトコワ系かと思いきや、まさかのゾンビ!
タイ式ゾンビは猛ダッシュ型で、霊が白目剥きがちなタイホラーですが、ゾンビも白目でした

しっかし、特筆すべきはその速さ
トラックもそこまでスピードを出せなかったのかもしれませんが、走っているトラックに余裕で追いついてくるスピードは、むしろ人間を超越した運動能力でした。

その後はとにかく勢いで押し切った感じですね
最後は少年が生き残り、パンデミックな予感を残す予定調和な終わり方ですが、色々とインパクトのある作品であり、単体で見ると駄作感も正直否めませんが、このオムニバスに組み込まれていることで、キラリと光を放っていました。

ただ、細部がだいぶ適当だったのが気になります。

まず、これは短編なのでマイナスポイントではないのですが、ほとんどゾンビ化の説明はありません
あのトラックの2人は、もともと不法入国の斡旋とかをやっていた感じですかね。
色々と悪い商売をしていたようですが、麻薬に手を出したのは若い方の独断だったようです。
コンドーム?に入れた麻薬を飲み込んだ人たちを運ぼうとしていたようですが、それがお腹の中で破れてしまったのが、おそらくゾンビ化の原因。
そう考えると、うまく彼らを生きたまま運べて麻薬の密輸に成功していた方が、より悲劇的な展開になった可能性も。

ついでに、これも悪いわけではないのですが、荷台の人間が死んでいることがわかった際、ボスと若者が荷台から死体をおろして捨てていましたが、わざわざ重そうにずるずる引っ張って、死体同士がなるべく重ならないように端っこまで運んで広げるように置いていたんですよね。
丁寧か

さて、本格的に突っ込みたいポイントに入りますと、まず、日本人男性の方、だいぶガツガツ食べられていた感じでしたが、首のちょっとした傷から血がピューっと飛び出しているだけでした
吸血鬼に噛まれたぐらいの感じ。

あと、トラックが横転したあと、荷台にいたのは日本人女性とタイ人若者男性の2人以外にも、あの子どもを含めて死体がいくつか転がっていました。
ですが、ボスが1人で逃げるトラックを2人(とその背後にゾンビたち)が追いかけていたシーンでは、よくよく見ると、そこまで荷台に死体が載っていないように見えます。

そして最後。
踏切の手前、車の中で、ゾンビ化した少年に気がついた日本人女性が銃を向けるシーン。
運転席側の窓が、外から見ると割れて破片が残っているのに、中から見ると綺麗なものでした。
細かいですが、そういうとこやで

「中古車販売」(監督:パークプム・ウォンプム)

前作では「最後のフライト」でラストを飾った、『心霊写真』などのパークプム・ウォンプム監督作品。
ここから2作は安定ですね。

「最後のフライト」では、もう「細かいことは気にすんな」という潔さで特殊シチュエーションを作り出したパークプム・ウォンプム監督ですが、本作では少し路線を変えてきて、シチュエーションはそこまで特殊ではない中で、スタンダードなホラー演出が展開された印象でした
だいぶぶっ飛んだ、というか特殊な設定が目立つ『フォービア2/5つの恐怖』の中では一番堅実なホラーといった印象で、さすがの器用さを感じさせます。

時間も短めで、内容も至ってシンプル。
シンプルとはいえ、事故車を修理してほぼ新品の中古車として売り込む店という最低限の背景設定を、最大限に活かしていました
事故死の再現はもちろん、途中で一気にすべての車が事故時の状態に戻るシーンの不気味さは圧巻です。

そして、特殊な設定ゆえにコメディめいた空気感が『フォービア/4つの恐怖』以上に漂う『フォービア2/5つの恐怖』の作品群の中で、唯一堅実なホラーに徹し、さらには容赦のない胸糞エンドを採用した、重さのある作品でもありました
主人公ヌットの商売はなかなかに鬼畜で、自業自得作品ではありましたが、息子のトイが犠牲になるのはあまりにも悲劇的。
自営業的な店とはいえ、暗くなっているのに放置して1人で遊ばせているのも問題でしたし、この表現は好きではありませんが、さすがに親ガチャに外れたと言わざるを得ません。

様々な事故シーンが再現されるのはとても好きでしたが、やはりヌットに対するネガティブなイメージが終始拭えず、怖い目に遭っても「しょうがないよね」感が強め
しかし、トイを探しに行く際、全部の車の鍵を持って探し始めたのは若干意味不明でした。
鍵が閉まっている車なら中に入れないでしょうし、車の下とか探した方が早そうですし、花輪の売り子に「どうやって入ったの?」と疑問を持つならトイも外に出てしまったとか誰かに連れ去られたとかの可能性も考えた方が良かった気がしますし……。
とはいえ、パニックになっていたと考えられるので、少しでも何か「探している」実感が得られる行動をしたかったのも理解できます。

結局、捜索途中で見かけたラジコンや少年の後ろ姿が本物のトイだったのか霊の仕業だったのかはわかりませんが、そういった細部にこだわらず、設定された状況の中でこそ味わえるホラーをしっかりと演出するという点が、「最後のフライト」とも共通していました。

「最後に」(監督:バンジョン・ピサンタナクーン)

満を持して本作のラストを飾るのは、大好き『女神の継承』のバンジョン・ピサンタナクーン監督。

『フォービア/4つの恐怖』における「真ん中の人」は、ミステリィ要素を強く含んだホラー映画のメタ的な作品で異彩を放っていましたが、本作「最後に」ではそれをさらに発展させてきた印象です
やはりさすがの完成度と言わざるを得ません。

前作以上にメタ、そしてブラックなコメディ要素が含まれていました。
まず何より、自身の作品『フェート/双生児』の続編製作現場という設定。
『フェート/双生児』で主演を務めたマーシャ・ワタナパーニットが、続編でも主役(という設定)で実際に「マーシャ」として出演しているところが熱い。

そしてとにかく、「真ん中の人」で登場した4人組、プアック、エー、ター、シンが同じ役名で登場するのが面白すぎます
エーはまた一旦退場して、その後登場し、幽霊では……?と思わせて、覆す。
ケイトこそ幽霊だと思わせておいて、覆す。
「真ん中の人」をさらにメタってきた展開はさすがすぎるでしょう。

『フェート2/5つの恐怖』5作の中では一番ふざけた感じでコメディ要素が強いですが、ホラーは部分はホラー部分でしっかりと怖さが演出されているのも見事です。
というよりむしろ、よく使われる手法ではありますが映画の外側を描くメタ的な構成によって、現実に侵食してくるような、現実と創作の境界が曖昧になるような恐怖が描かれ、そういった点ではむしろ他作品以上に怖いと感じられる作りになっていました

しかし、それらが些事に感じられてしまうほどの、圧巻のラスト。
「勘違いでみんな実は生きていました」というラストですが、『フェート/双生児』の続編製作という設定自体が伏線となっている、医者が双子だったというトリック。
医者が双子でした、だけだとずるいような反則感が漂いますが、『フェート/双生児』と絡めることによって完全なる伏線になっているところが、脱帽でしかありませんでした
みんな生きていたのに、最後にはみんな事故死しちゃいそうなブラックさも、やっぱり大好きなのでした。

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