【映画】アクアスラッシュ(ネタバレ感想・考察)

映画『アクアスラッシュ』
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作品の概要と感想とちょっとだけ考察(ネタバレあり)

卒業前の最後の週末を仲間と過ごすため、あるキャンプ地を訪れた高校生たち。
過去に忌まわしい事件の起きたこの公園は、管理・経営する夫婦にもどこか訳ありの雰囲気が漂う。
そんな大人の思惑をよそに恋と水着と乱痴気と、解放感にひたってはしゃぐ生徒たち。
賞金のかかったスライダータイムレースを前にして最高潮に達した興奮もつかの間、歓声は悲鳴に変わり、血の海と化すプール。
阿鼻叫喚の地獄ショーが、幕を開ける──。

2019年製作、カナダの作品。
原題も『Aquaslash』。

刃物の仕込まれた殺人ウォータースライダー!

完全にそのワンアイディアだけで制作された作品です。
ジャケ写のシーンが詐欺ではなくしっかりとあるところが評価ポイントであり、ジャケ写がすべてと言っても過言ではない作品でもあります。

そのため、ウォータースライダーでスプラッシュスラッシュスプラッタするシーン以外は、ひたすら必死に水増しして何とか72分の作品に仕上げました感が否めません。
要所要所で意味もなく多用されるスローモーションからは、涙ぐましい努力が感じ取れます。
しかし『デストイレ』を観たことのある身としては、これすら頑張っている傑作に感じます。


前半は、偏差値が相当に低そうな高校生たちが卒業に浮かれる乱痴気騒ぎをひたすら見せられます。
水着姿なのにびっくりするほど魅力に乏しい男女たちの様子は、あまりにも興味が湧かずついつい適当に流し見。

そうしたら、水増しの割に登場人物が多く、関係性も複雑。
あっという間に、どれが誰なのか、誰と誰がどうなっているのか、高校生なのか大人なのかの区別もまったくわからなくなってしまいました

かといって、改めて見直す気にもならないので強行。
よくわからないけれど揉めていたり(みんな浮気不倫しまくり)、すぐ近くに人が見えたのに拳銃で殺人をしてバレなかったり、まさかの突貫工事で殺人ウォータースライダーが完成したり。

そして訪れたスプラッシュスラッシュは、大変面白うございました
けっこうしっかりとスプラッタしていて、ここまで大袈裟に派手だと清々しいほど。
ぶっ飛んだ人体破壊も、真っ赤に染まったプールも、ここまで耐えてきた期待を裏切らないものでした。

絶妙に切れ味が良いんだか悪いんだかわからない刃
しかし、ウォータースライダーで滑った先にこんなのが仕掛けられていたら、とんでもない恐怖ですね。
あれだけ長いウォータースライダーであれば、恐怖を感じる間もなく切り刻まれるかもしれませんが。

DV気質・ストーカー気質のマッチョくん(トミーでしたっけ)は、頑張って警告したのに突き落とされてしまい、しかも当たりを引いてしまったのでかわいそうでした。
ですが、あの体勢からあの刃物の角度なのに、首が切断されたのは、どう考えても解せません

主人公っぽいバンドマンのボーカル、ジョジュア。
彼が何とか仲間たちを助けようとする姿には胸を打たれましたが、ウォータースライダーを逆走しようとしてはつるつる滑る姿がひたすらスローモーションで繰り返されるシーンは、さすがにギャグでした。


ストーリー部分としては、意外とサスペンス要素というか、背景が設定されていました。
犯人は公園経営者の妻であるプリシアです。
しっかり見返していないので誤解もあるかもしれませんが、以下、簡単に整理しておきます。

彼女はどうやら、この公園が開園された当初に客として来て、ウォータースライダーの事故で父親を亡くしてしまったようでした
彼女は周囲に助けを求めますが、誰も助けてくれず、監視員の男女はイチャイチャしていて事故にまったく気がついていない様子でした。

もともと復讐計画があったのかはわかりませんが、彼女は公園経営者と結婚。
並行して、ジョシュアの父親である不動産王と仲良くなります。
不動産王は、公園の買収計画を立てていました。

夫の不倫を知ったこともきっかけとなってか、彼女は復讐計画を発動。
映画冒頭で監視員の若い男女が殺されたのは、彼女の父親を助けなかった監視員2人を重ねて見ていたのだと考えられます。

彼女の計画の目的はおそらく、不動産王と夫を殺害すること
そして惨劇を起こし、公園の存続を不可能にすること
そうすれば、公園を買収する計画は不動産王の息子ジョシュアに権限が移ります。
きっと、彼なら言われるがまま買収計画を進めると考えたのでしょう。
また、夫が死んだことで公園の所有者も妻のプリシアになっていたと考えられるので、買収に伴う莫大なお金を手に入れることができます。

彼女としては、父親が死んだ公園に思い入れなどはなく、むしろ復讐して潰す目的で公園経営者と結婚したと考えるのが自然です。
復讐のために公園を潰し、経営者であった夫を殺し、莫大な資産を手にする
それが、彼女の目的であったと考えられます。
買収計画については、不倫関係にあった不動産王から聞いていたのでしょう。
あるいは、彼女の側から不動産王に買収計画を唆したのかもしれません。

経営者がウォータースライダーに突き落とされたのは、若者たちの悪ノリによってだったので、たまたまでした。
ですが、その前にプリシアが「別のチームに入って戦わない?」みたいに誘っていたので、いずれにせよ何らかの方法で彼を殺害するつもりではいたのは間違いないと考えられます。

三つのチューブのうち、当たり(ハズレ?)は一つだけ。
もし経営者が別のチューブに突き落とされ、死ぬことなく惨劇を知っていたらどうするつもりだったのかはわかりませんが、きっとそこまで考察するのは野暮でしょう。
ちなみに事件は、「不動産王が園内で異常を来して……」と報道されていたので、不動産王が濡れ衣を着せられてしまったようでした。


エンドロールの途中では、ヘッドフォンをした少年が血に染まったプールから出てきましたが、あれは完全に謎です
彼が最後に映ったシーンも謎があり、彼の母親が彼の背後を横切ろうとしたシーンの次のカットでは、彼が母親の背後を歩いており、なぜか母親がプールに落下しました。
ここも深入りしない方がいいかもしれません。

水増し部分がまったく興味が持てなかったのと、最後は唐突に終わってしまい、何とも言い難い作品ですが、後半の派手な演出は好きでした。

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