【映画】デスチューバー(ネタバレ感想)

映画『デスチューバー』
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作品の概要と感想(ネタバレあり)

視聴者の課金に応じて私生活やストリップをライブ配信するという、過激なチャットルームで小遣い稼ぎをする女子高生たち。
ある日、その中の1人ニコルが配信中に何者かに襲われ、翌日友人のスマホにニコルの死体写真が送られてくる。
しかし仲間たちが「フェイク画像だ」と取り合わず配信を続けていると、1人、また1人と謎の死を遂げていき──。

2017年製作、アメリカの作品。
原題は『#Captured』。

他者の評価に影響は受けないようにしているのですが、あまりにも評価が低いのでついつい後回しになっていた1作。
しかし『デスNS/インフルエンサー監禁事件』を観に行ったので、「今観るしかない!」という勢いでついに鑑賞。

結論は、「あまりに低い評価は、ちゃんと参考になる」ということでした。

さすがに。
これは、さすがに。
『デスNS/インフルエンサー監禁事件』がいまいちみたいなことを書いてしまいましたが、『デスチューバー』を観たことで『デスNS/インフルエンサー監禁事件』の評価が上方修正されました

これ、高校生……?というのは、俳優さんたちは悪くないので置いておきましょう。

冒頭の、主人公(?)の殺人鬼が部屋に入っていく主観視点の映像のシーンの時点で、ホームビデオっぽい映像の安っぽさから、『デストイレ』のような不安が募りました。
結果、『デストイレ』ほどではないですが、その不安は間違ってなかった


内容は、とにかくテンポが悪いのが最大の難点
冒頭は、演出上仕方ない面もあるとはいえ、セクシーさのカケラもない過激動画配信とゲスの極みなコメントたちをしばらく見せられ、ついつい「これは何を見せられているんだろう」モードに(これもちろん、女優の方は悪くない)。

ついに殺人鬼が登場したかと思いきや、ニコルの殺害はとてもあっさり。
その後はまたメインとなるパリピ男女たちの知性のカケラもない動画配信ややり取りが続き、無の境地
ただ、「Truth or Dare」っぽいゲームをやっていたのはちょっと感動しました(映画『トゥルース・オア・デア 殺人ゲーム』参照)。

この内容で81分まで引き延ばしたのはそれはそれで見事ですが、あまりにも中身のないやり取りが冗長でした。
それなのに、殺害シーンはすべて非常にあっさり
レイティングの都合などもあったのかもしれませんが、せっかくなのでもっと殺害の様子で時間を使ったり、過激さがあったりしても良かった気がします。
というより、この作品を観た人が求めていたのは、だいたいがそのポイントだったのでは。

トニー(長髪男子)がアシュリー(サッカーコーチと不倫)を説得しようと追いかけて殺人鬼に襲われた際、とんでもなく手慣れた早業で首を切られて死にましたが、そのときに殺人鬼は「心配ない、楽に逝ける。お友達はそうはいかない」と言っていました。
しかし実際は、お友達たちも死ぬ前に恐怖を与えられただけで、殺害方法はほとんど変わらずあっさり

唯一、ケイド(陽気な動画配信担当)が内臓を溢れさせながら殺されたところだけは、爪痕を残してくれました。
5秒ぐらい、数回刺しただけであれだけ内臓を溢れさせていたのは、外科医もびっくりなプロの所業。
他の殺し方も、あっさりしていると言いましたが、1撃で確実に仕留めているとも言え、手慣れていました。

しかし殺人鬼の動機はほぼ不明
アシュリーの不倫相手が犯人か?とも思ったのですが、そんなこともなさそうでした。
取ってつけたような神様発言で何とかお茶を濁していたような印象です。
妄想的に、性的に逸脱している若者たちに天罰を下していた、と捉えておけば良いでしょうか。
最後も、収拾がつかないので殺人鬼が自殺して無理矢理終わらせた感が漂っていました。

せっかく動画配信しているところを襲ったのに、自分のカメラで録画するだけで、リアルタイムで殺害シーンを流すわけではなかったところからは、若者たちと殺人鬼のジェネレーションギャップを感じてしまいました。
『デスチューバー』といタイトルからもそんな内容を期待してしまっていましたが、あくまでも邦題オリジナルのタイトルなのでそこに文句を言うのは筋違いでしょうか。

ドローンで撮影していたのも、あまり有効活用されておらず残念。
ドローンのバッテリー残量が常に30%弱だったのも気になりました。
ちゃんと充電しよ。

アシュリーも結局あっさり殺したので、わざわざ拉致して監禁していた理由は不明
恐怖を与えたかったのか、反省させたかったのか。
ジェンとヘイリーもあまり意味なく遠くまで連れて行かれましたが、アシュリーだけ殺人鬼の拠点で監禁されたところからは、性的な動画配信よりも、不倫の方が悪のようでした。

常に自分の視点を録画していた犯人ですが、まさかあんな『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の頭脳透視装置みたいな大掛かりな装置を頭につけていたとは。
あれで運転して捕まらないのもすごいですし、「社会的実験」で納得して何も疑うことなく接していたアシュリーもなかなかのものでした。

すでに天罰を下したのに、高校にわざわざ撮影した動画を届けているのも謎でした。
「今後、同じようなことがないように気をつけろよ」という警告でしょうか。
高校側も、責任を押しつけられてかわいそう。
ガバガバで誰でも侵入しまくりな高校のセキュリティも心配。

郵送やネット上での公開はなく、自ら届けに行くところはこれまた殺人鬼の年齢を感じてしまいます。
そう考えると、ドローンを見せつけてドヤ顔していたところは可愛く見えてきました。


というわけで、文句だらけになってしまいましたが、ご容赦ください。
殺人鬼の目的が謎すぎてストーリーは整合性が取れず、かといって殺人はあっさりしているので、ストーリーは無視して殺人鬼による天罰を楽しむべく作品というわけでもない。
低予算だったり頑張っている感は伝わってきますが、どうにも推しポイントがわからない、中途半端な作品になってしまっていたのでした。

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