【映画】ネイバーズ(2016)(ネタバレ感想)

【映画】ネイバーズ(2016)(ネタバレ感想)
(C) 2016 HE ONLY TAKES ONE, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
スポンサーリンク

 

作品の概要と感想(ネタバレあり)

とある山奥の田舎町で暮らすジョンとロージー。
ジョンは叔父の違法な仕事を手伝いながら、ロージーと共に海外で暮らす夢を膨らませていた。
そんなある日、ジョンの留守中にロージーは偶然隣人のトロイが血まみれの男を射殺する現場を目撃してしまう──。

2016年製作、アメリカの作品。
原題は『The Neighbor』で、この邦題の微妙な差は何なのでしょう、と気になるパターン。

監督は、『The FEAST/ザ・フィースト』シリーズで脚本を手掛け、『ワナオトコ』『パーフェクト・トラップ』のシリーズでは脚本に加えて監督も務めているマーカス・ダンスタン。
彼が脚本を手がける作品は、本作も含めてほぼ全作パトリック・メルトンとのタッグです。

マーカス・ダンスタン&パトリック・メルトンのコンビは、『ソウ』シリーズの『ソウ4』から『ソウ ザ・ファイナル 3D』までの4作でも脚本を務めており、『ネイバーズ』の日本における宣伝ではそこがプッシュされている感じですね。
ちなみに、本作ではあまり印象に残る曲はありませんでしたが、音楽を手掛けていたのは『ソウ』シリーズのチャーリー・クロウザーと、なかなか豪華な布陣。

上に載せたDVDのパッケージでも「『ソウ』シリーズ脚本家が仕掛ける」と書かれており、それは事実なので問題ありませんが、使われている写真と「新たな罠」「ソリッドシチュエーション・スリラー最新作」の謳い文句は、本作の内容から少々ずれている気がしてなりません
まぁこのあたりも、有名作品を手がけた宿命でしょうか。
それでも、あんなちょっとだけ出てきた不気味なマスクのこの使い方はずるい。


さて、そんな本作は、タイトル通り「隣人がやばかった」系のスリラー。
……と言いたいところですが、正直どっちもどっちでした。
主人公のジョンとロージーも悪事に手を染めていましたし、「やばい隣人の秘密を知ってしまったスリラー」というよりは「やばい地域のやばい隣人同士によるご近所トラブル」でしかありませんでした

女性警察官のバーンズも隣人のトロイに協力していましたし、それだけで町や地域全体の治安の悪さが窺えます。
バーンズは、彼女なりの正義感に燃えていたようでしたが。

ストーリー全体は、トータルで見るとけっこう楽しめました。
序盤は状況がわかりづらいし展開が遅いしでどうなるかと思いましたが、後半の盛り返しは勢いがあり楽しかったです
ただ、印象に残るかというと微妙なところで、1ヶ月後には内容を忘れてしまっていそう。

『パーフェクト・トラップ』の方が派手で印象には残りますが、そもそもコンセプトが異なるんだろうな、というのは強く感じました。
『ネイバーズ』は、古いカメラによる映像の質感や音楽もそうですが、全体的にレトロさを意識したような、抑えた作りになっていたように思います
2016年の作品でありながら、電子デバイスの登場が最小限だったところなども、そもそもの舞台となる時代背景の古さも感じさせます。

それにしても、隣人同士が望遠鏡で覗き合っていたところなんかは、冷静に考えるとちょっと笑ってしまいます。
隣人を覗くとき、隣人もまたこちらを覗いているのだ──。
望遠鏡越しに目が合って「あっ……///」みたいにならなくて良かったですね。
というか、あんなにどの家にも普通に望遠鏡はあるものなのでしょうか。


主人公のジョンは、格好よくも廃れた雰囲気が漂っていて良かったです。
目つきとか完全に死んでましたからね
すっかり忘れてしまっていましたが、演じていたジョシュ・スチュワートは『ワナオトコ』『パーフェクト・トラップ』でも主人公のアーキンを演じていました。

ただ、ジョンがあまりにも落ち着き払っているのもあってか、緊張感は何とも微妙なものでした。
あんな、誰がいるかもわかない地下室に、いくら暗いとはいえ懐中電灯をつけたまま進んでいくのは、勇気があるというより無謀です。
そもそも犯罪者同士の揉め事なので、ジョン側にさほど感情移入できなかったのも大きいかもしれません。
それでも、ロージーを助けに行くジョンの姿はヒーローっぽく見えてくるので、不思議なものです。

隣人のトロイは、なかなか渋くて好きでした。
うさぎを殺しまくって穴に捨てているのはだいぶ謎でしたが、射撃の腕は抜群。
あの遠距離かつ(たぶん)ショットガンで、ニールおじさんとその忠実そうな手下のギリーを1発ずつで命中させた腕は、尋常ではありません。
というか、ニールおじさんより手前、しかも射線上にジョンたちがいた気もしなくもありませんが、深く考えてはいけません

しかしその後は、こういった作品の定石通り、突然射撃がド下手になります。
逃走劇が繰り広げられる中、ニールおじさんは「俺は不死身だ」だなんて近年まったく聞くことのなくなったコテコテの死亡フラグを立てて速攻やられてくれるなど、レトロなサービス精神がとても旺盛でした。

トロイの家は、まさかのスイッチ一つでドアや窓すべてにロックをかけられる高度設計の要塞ハウスでした。
地下の監禁部屋もそうですが、だいぶお金がかかっていそうです。

いつも思うのですが、ガスマスク姿の殺人鬼は格好よくも恐ろしいながら、視界が狭くて見づらいだろうな、と気になってしまいます。
また、屋内では振り回しづらいショットガンなど長い銃は不利でもあります。
中途半端に催涙ガスをばら撒いて、ガスマスク姿でショットガンを手にうろうろする羽目になったのが、トロイの敗因でしょうか。

トロイの息子の1人であるクーパーは、けっこう真面目そうだったのでかわいそうでした。
しかし、まさかあれで死んでしまったとは。
うさぎの死体を口に突っ込まれて窒息死するというのは、あまりにも嫌です。
口に突っ込まれただけでしたけど、鼻が詰まっていたのかな。
あるいは「アレルギーだ」と言っていたのが真実で、うさぎアレルギーだったのかもしれません。

逆にもう一人の息子ハーレイは、典型的な嫌なやつ。
女性を見下しながらロージーにやられてしまうところは、皮肉が効いていて良い。


そしてそう、ロージーですね。
突然覚醒する戦闘力。
手錠の入れ替えはまるで手品のようで、何回か見返してしまいましたがどうやっているのかまったくわかりませんでした
たぶん、鎖をハーレイの首に巻きつけて殺そうとしたけれど、その揉み合いの際に落ちた鍵で自分の手錠を外して、ハーレイの手につけ返した、ということだとは思うのですが。
最後にタバコの火でトロイの家に火をつける姿なんか、完全に悪役のそれ。
ハーレイに殴られたあと、歯に血がついて赤くなっていましたが、次の瞬間には白い歯に戻っていたのも、深く考えてはいけません

サラとコールは、完全なる巻き込まれのようでした。
サラが細いのかもしれませんが、引っ張って抜ける手錠もなかなかにガバガバ。

サラが思いきれなかったことでジョンたち全員が窮地に陥り、バッドエンドかと思いきや、ロージーの大活躍でまさかのハッピーエンドというのは意外性があり良かったです。
ラスト、「本当に無事に逃げきれたんかい」と突っ込みたくなってしまうようなハッピーエンドは、もはや清々しい。
「これからは、2人でずっと幸せに……」みたいな美しい映像でしたが、いや、そんな美談じゃないですからね

とはいえ、ジョンとロージーの犯罪も、小物といえば小物ではありました。
よくわかりませんでしたが、ニールおじさんのとこから案内されてきた車のナンバープレートをつけ替えて逃走を手助けしていた、ということでしょう。
プレートをつけ替えるだけなので、作業だけで考えればかなり楽。

終わる頃にはすっかり忘れていましたが、冒頭で出てきた撃たれた女性は、ただの逃走者の1人だったということですね。
また出てくるのかと思ったら、一切登場はなし。
後ろに座っていた子どもは、あんなちょい役ではもったいないぐらい天使のように可愛い子でした。

コメント

タイトルとURLをコピーしました