【映画】パーフェクト・トラップ(ネタバレ感想)

映画『パーフェクト・トラップ』のポスター
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作品の概要と感想(ネタバレあり)

友人に誘われて怪しげなクラブへ遊びに行った富豪の娘エレナ。
そこには、連続殺人犯「コレクター」が仕掛けた恐ろしい罠が張り巡らされていた。
周囲の人々が惨殺されていく中、逃げ惑っていたエレナは箱の中に閉じ込められ、コレクターに連れ去られてしまう。
事件を知ったエレナの父親は、娘を救うべく捜査チームを結成し、唯一の生還者であるアーキンも呼び出され、コレクターの隠れ家へと踏み込んでいく。

2012年製作、アメリカの作品。
原題は『The Collection』。

監督は「『SAW』シリーズの脚本家」と打ち出されており、ついついジェームズ・ワンやリー・ワネルを連想してしまいますが、リー・ワネルが脚本から降りたあとの『ソウ4』からシリーズ最終作『ソウ ザ・ファイナル3D』まで脚本を務めたマーカス・ダンスタンによる作品です。

『ワナオトコ(原題:The Collector)』の続編ですが、実は『ワナオトコ』はまだ観られていません。
それでも『パーフェクト・トラップ』は十分楽しめる、というかストーリーはあってないような作品です。
それゆえか、急に観たくなって数年振りに再鑑賞したのですが、内容をほとんど忘れてしまっていました。

『SAW』シリーズのミステリィやゲーム要素を排して、ただひたすら殺戮に特化したような作品です。
頭を空っぽにして楽しめるエンタテインメントであり、そのため、考察要素もほとんど皆無。
深みもないので、ジェットコースターに乗って「面白かったね!」というような感覚に似ており、感想もそれほど多くはありません。
「グロいの大好き!」な人にとってはそれこそジェットコースター感覚で楽しめますが、「グロいの大嫌い!」な人にとってはほぼ無価値な映画かもしれません。

とはいえ、他の作品と比べて特別グロいかといえば、そういうわけでもありません。
面白くて好きなんですけど、この作品ならではのパンチが弱いので、いまいち突き抜けきれなかった印象です。

一方、突っ込みどころは満載
『SAW』シリーズを超える壮大なトラップ(昆虫学者が1人であそこまで……!)。
けっこう多い、行き当たりばったりの肉弾戦。
救出部隊はたったの5人、しかも軽装備で、ほとんど何の策もないまま敵のテリトリーにのこのこ侵入。
『SAW』シリーズ同様、人が部屋に入った途端自動で閉まる鉄の扉の謎。
たくさんの罠があるとわかっていても注意力散漫な登場人物たち。

それらが引っかかってしまうと楽しめないかもしれませんが、トリガーハッピーならぬブラッドハッピーというか、純粋に血の惨劇を楽しむ作品です。
ちなみに、銃を乱射することに幸福感を感じるトリガーハッピーですが、本来は「射撃のみに集中しすぎてしまう状態に陥ること」といった意味合い(関係ない)。

とにかく無駄に壮大な惨劇を堪能しながら、細かい部分に突っ込みを入れていくのがこの映画の楽しみ方です。
その意味では、とても明確でわかりやすい作品。

序盤のクラブでの惨劇のインパクトは、『ゴーストシップ』を彷彿とさせます。
ただ、あのシーンがピークだった感があるのが、惜しいところ。
あのクラブは、コレクタープロデュースだったんですかね。
何の関係もないクラブにあれだけトラップを設置したのだとしたら、ただ者ではありません。

主人公(?)のアーキンは、どうやら前作にも登場したようですが、再び巻き込まれる不幸具合。
救出チームが「プロを集めた」と言っていましたが、「何がプロなんだ?」と思わざるを得ないぐらい本当に頼りがいがありません。
リーダーのルチェロと、女性のパスは頑張ってた。
でも、コレクターの居場所を特定したなら、警察に通報した方が絶対良かった。
メンバーの1人、ウォーリー(モヒカン)が「警察が来てくれるさ」みたいに言っていたのが、プロとしてあまりにも間抜けでなりません。

一番弱かったのが、コレクターの個性でしょうか。
これらの犯罪やコレクションを行う哲学的なものもよくわかりませんでしたが、前作を観たらわかるのかな。
瞳はなかなかにつぶらでした。
とりあえず、虫だけでなく人をコレクションするのも大好きなようです。
虫嫌いとしては、隠れている人を蜘蛛であぶり出そうとするのはあまりにも陰湿すぎ
外からも中からも開けられまくっていた箱は、もう少し改良した方が良いでしょう。
お気に入りだったらしいアビーは、一体何が良かったんですかね、と思ってしまうほどお騒がせ。

見せ場は、コレクターがライフル片手に犬を従え、ドアをバーンと開けるシーンです。
青い光を背景に現れたシルエットは、とてもかっこいい。
けれど、犬はあまり役に立たないままやられてしまいますし、ライフルもけっこうあっさりと弾切れになり、替えのマガジンもなかったようで、すぐにエレナだけ回収して帰っていってしまいました。
あの場で皆殺しにもできたと思いますが、その後エレナを餌にトラップに誘い込んだところからは、せっかく準備したトラップを見せたかったのでしょうか。

とはいえ、数々のトラップは、『SAW』のジグソウのように相手の心理や行動を読んで設置された巧みなものではなく、とりあえず設置しまくってみました!どれかに引っかかるやろ!といった感じで、シンプルな作りのトラップが多め。
まぁ「パーフェクト・トラップ」は邦題なので、もともとトラップがメインというわけでもありません。

アーキンがコレクターを追い詰めるラストシーンという展開は意外性もありましたが、特に何の伏線もなく現れた昆虫学者だったので、犯人自体への意外性はなし(前作を観ると少しはわかるのかも?)。
コレクターがラジオをかけた時点ですでに侵入していたのかもしれませんが、コレクターが階段をのぼっていった一瞬の隙に箱を置いてラジオを切り替えたのは、かなりの早業。
どうやって侵入したのかといえば、ピッキングシーンが伏線でしょう。

そして、アーキンはものすごく見事にコレクターを箱に押し込みます。
しかし、果たしてあれは、本物のコレクターだったのか。
そこに考察の余地があると見せかけて、エンドロールでこのシーンを映して「この人、コレクター!」とばっちりキャスト紹介してくれたので、考察の余地や曖昧さを残さない非常に丁寧な作りになっていました。

エンドロールは非常にセンスが光っていました。
「そこ切り取る?」ってところでカメラを止めたり、死んだキャラは死亡シーンで停止させられます。
と見せかけて、ルチェロだけは優遇。
ミッシー(エレナの親友)、ジョシュ(ミッシーの弟)なんかは、潰されたり上半身が吹き飛んだりして死んだので、もはやキャスト名が出るときには姿形がありません
アーキンが窓から飛び出す際にクッション代わりにしたのがブライアン(浮気していたエレナの彼氏)だったというのも、エンドロールで気がつきました。

最後にはアーキンがコレクターを捕まえてしまったので、さらなる続編は難しいですかね。
燃やされても生きていた、不死身なのかよくわからないコレクターの奇跡の逆転を待つしかありません(ただの昆虫学者のはずですが)。
2012年から10年以上音沙汰がないので絶望的かもしれませんが、奇跡の復活を待ちたいと思います。

ちなみに、この作品が好きな方は、きっと『ホーンテッド 世界一怖いお化け屋敷』も好きだと思います。

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