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【映画】人肉村(ネタバレ感想・考察)

映画『人肉村』のポスター
(C)2020 UNIT XIX INC ALL RIGHT RESERVED
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目次

作品の概要と感想とちょっとだけ考察(ネタバレあり)

映画『人肉村』のシーン
(C)2020 UNIT XIX INC ALL RIGHT RESERVED

ドライブ旅行に出かけた男女4人の若者たちが、自然豊かな郊外の一本道を走っていたところ、車が故障して立ち往生してしまう。
そんな彼らを、森の陰から「獲物」として狙う者たちがいた。
近くの村に住むワトソン一家は道に迷った者たちを拉致しては捕獲し、男は食料に、女は繁殖の道具に利用するという、狂気の食人一家だった。
若者たちはワトソン一家に次々と捕らえられ、監禁されていく──。

2020年製作、カナダの作品。
原題は『Butchers』で、「肉屋」「畜殺者」「虐殺者」などの意。

完全に『人肉村』という邦題で無駄なイメージや期待を抱かせ、損をしているような1作
おそらく、「人肉」というフレーズに吸引力があるのと、日本公開当時の2021年は清水崇監督の「恐怖の村」シリーズ第2弾の『樹海村』が公開された年でもあり「村ホラー」の勢いもあったため、つけられた邦題でしょう。
興行収入のためにはタイトルで注目してもらわないといけないですし、かといって内容と違いすぎるとそれだけで批判ポイントになってしまうので、難しいバランス。

内容は、「田舎に行ったら車が故障して殺人一家に捕まっちゃった」という『悪魔のいけにえ』路線を地で行く超王道
1998年という年代設定も、古き良きスラッシャー映画の雰囲気を醸し出しています。
『クライモリ』にも似ていますが、そもそも『クライモリ』が『悪魔のいけにえ』に影響を受けているので、当然といえば当然でしょうか。
タッチとしては『セブン』も意識されていたようですが、その感覚はちょっとピンと来ず、わかりませんでした。


『悪魔のいけにえ』のソーヤー一家は、レザーフェイスを筆頭にホラー映画のアイコンとなるほどぶっ飛んだ個性が強かったですが、『人肉村』も各キャラそれぞれ個性は放ちつつもリアル路線
そのため、インパクトは弱めですが、「実際にあり得るかも」感がしっかりと漂っていました。
個人的にはけっこう楽しめましたが、あまり印象には残らないかも。
古典的に何回も連れ戻される絶望感は良い。

本作に登場するのは、男性は食料に、女性は子孫繁栄の道具にしてしまうワトソン一家

唯一社会性のある長男のオーウェンは、獲物の誘導も担当するまとめ役
そりゃ次男と3男がこれじゃ大変だよな……と苦労を滲ませます。
まだ何もしていないのに、初対面の女の子に「キモいわ」とどストレートに大声で言われてしまったときの背中からは、怒りよりも悲哀を感じてしまいました
死体をサクサク切断する様子からは骨の存在を感じさせませんでしたが、あの鉈の破壊力がすごいのか、オーウェンの腕力が尋常ではないのか。
たぶん、実は一番変態

何かしらの精神疾患を疑わせる次男のオズワルドは、何をしでかすかわからない不気味さで、ワトソン兄弟の狂気を象徴しています
森に逃げた獲物の探索能力はとても高め。
ドジっ子に見えて、タイラー(浮気していた方の女性)にジャンピングスラッシュを仕掛ける姿は超躍動的でした。
オズワルドもサクサク死体を叩き切っていましたが、クリスの首を180度回転させたりしていたので、ああ見えてけっこう怪力。

満を持して最後に登場する3男のオックスフォードは、モンスター風味
不穏な唸り声で存在をアピールしながら、登場まで相当に引っ張りましたが、ちょっと引っ張りすぎでした
だいぶハンデがあったジェンナ(最後まで生き残った女性)にあっさり追いついていたので、小さく見えてめっちゃ瞬足。
ちょっとネタバレになってしまうので明言は避けますが、とあるホラー映画で地下洞窟に棲んでいた地底人を思い出しました。

プラス、絶妙に仲の悪そうな叔父さんのウィラード。
冒頭で亡くなっていたワトソン3兄弟の母親の弟か、あるいはこちらもすでに亡くなっているであろう父親の弟ですかね。
アル中の飲酒運転スキンヘッド
最後は、後ろから襲われたのに額に綺麗〜に鉈が刺さっているという間抜けな姿でご臨終。

そんなワトソン一家、生前は母親が取りまとめていたようですが、父親の存在や、ワトソン一家がいつ頃から、どの代からこのような生活を始めていたのかなど、背景は一切不明でした

このような凶行に及んでいた理由も特に明かされませんでしたが、子どもを産ませようとしていたことからは、子孫繁栄、ひいてはそれこそワトソン村を作りたいという野望もあったのかもしれません。
母親が取りまとめていたことを考慮すると、母親ももともとは被害者で無理矢理ワトソン3兄弟を産まされたとは考えにくいので、このような生活を始めたのは最近と考えるのが自然でしょうか。

『悪魔のいけにえ』のソーヤー一家は、殺人を生業としており、さらには有名な食卓を囲むシーンがあるなど、生活感が窺えました。
個人的に、食事シーンはけっこう重要だと考えていて、それが「狂った家族が実際に生活している」というリアリティに繋がっており、それがなければソーヤー一家はフィクション感がより溢れていたはずです。

一方、『人肉村』のワトソン一家は、ほとんど生活感が感じられませんでした
それが不穏さを生み出していたとも言えますが、いまいち実態が見えづらかったのも事実。
結局、オーウェンの言葉からは、人肉を食べていたのは3男のオックスフォードだけだったようですが、オックスフォードの存在は相当に不明。
その理不尽さや理解のできなさが恐怖にも繋がりますが、理解できないなりにもう少し実態が深掘りされていた方が、地に足ついた感が感じられたかもしれません


サバイバー側は、こちらも定番のカップル2組の男女4人
しかもその中で浮気関係があるという、何ともお粗末な4人組。

オラオラ系のマイケル。得意技は浮気。
その彼女のジェンナ。ずーっと不機嫌顔。
モブキャラ感溢れ出るクリス。ビデオカメラは何の意味もなし。
その彼女のテイラー。得意技は浮気。

ホラー映画のザ・被害者ではありますが、その中でもなかなかに応援する気になれない4人でした。
クリスが唯一まともっぽく、殺され方もインパクトがありました。
アキレス腱を切られていたはずなのに、這いつくばって進むシーンで微妙に足先で地面を蹴って進んでしまっていたのはご愛嬌。

最後まで生き残ったヒロインポジションのジェンナも、「え?そこで?」というタイミングで反抗的な表情や態度だったりと感情が読めず、感情移入しづらいキャラでした。
逃げられるチャンスを何度も何度も逃し、結局逃げきれずに殺されてしまったラストも、不思議とそれほど後味の悪さやダークさは感じられず。
どちらかというと、サバイバー側より、ワトソン一家側に焦点が当てられていたように思います。

R15+でしたが、思ったよりグロ描写はありませんでした
というより、だいたい直接的には映さないカメラワークなので、もどかしい。
このような作品なら、いっそしっかりグログロするところはグログロしていてほしかったな(グロメインではなくて良いですが)、と個人的には少し物足りなく感じてしまいました。
特に、このタイトルなら、観た人はだいたいもう少しグロ要素も期待していたのではないかと思います。


そんなこんなで、ワトソン一家の「正体不明さ」こそが本作の恐怖の本質なので、考察ポイントもほとんどないというか、わからない部分は勝手に想像するしかなく、箇条書きレベルになりますが2点だけ。

オズワルドが写真を撮っていたのは?: 獲物の戦利品的な意味合いと、性的な意味合いが合わさったコレクション?

セレステの子どもの父親は?:セレステは、冒頭で捕まったカップルの女性で、本編中では舌を切り取られて監禁された上、妊娠させられていました。オーウェンの「オズワルドは自分が父親だと思っている」という言葉からは、オズワルドが強姦したのは間違いありませんが、さらにはオズワルドには隠れてオーウェンも強姦していたのでしょう。もしかしたらウィラードも?なので、誰が父親なのかはわかりません。ただタイミング的には、ワンチャン、彼氏の子どもの可能性もあったかもしれません。

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『人肉村』が好きな人におすすめの作品

『X エックス』

こちらも『悪魔のいけにえ』など古典ホラーをリスペクトした、田舎に行ったら襲われた系作品。
カニバリズム要素はありませんが、一方で、これまでになかったような斬新な設定も盛り込まれています。

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