
作品の概要と感想とちょっとだけ考察(ネタバレあり)
アリソンは恋人の母親が主催するビーチでのパーティに家族と訪れていた。
すると、弟がサメに襲われ、ダニエルと名乗る青年に助けられる。
これをきっかけにダニエルはアリソンの家族と仲良くなるが、アリソンはダニエルにどこか違和感を抱き──。
2020年製作、アメリカの作品。
原題は『A Predator’s Obsession: Stalker’s Prey 2』。
捕食者(略奪者)の執着・妄想、といった感じですかね。
しっかりと「Stalker’s Prey 2」と書いてあるのは、邦題と違って順番がわかりやすいです。
というわけで、本作はシリーズ3部作の2作目。
シリーズの順番などについては、前作である『サメストーカー ビギニング』の記事に書いてあるのでご参照ください。
さて、本作の感想は。
生きとったんかいワレェ……!
の一言に尽きますね。
というより、それ以外は前作からそれほど目新しさもなく、相変わらず拗らせた変態ストーカーであるブルースの暴走を見守るだけ。
新鮮味には欠けてしまいましたが、何だかんだ楽しめた、個人的には好きなシリーズです。
本作の特徴としては、前作のストーカーであるブルースが生きていた!という点しかないと言っても過言ではありません。
他はだいたい前作と同じような展開。
ただ、この「ブルースが生きていた」という真相が非常にわかりづらいのが難点です。
よく見れば、冒頭のタイトルが出る直前のシーンで、前作でも持っていたアリソン(旧)が身につけていたネックレスを手にしていたので、勘の良いガキであればその時点で気づけたのかもしれません。
しかし、あれで気がつくのは相当なファンでないとけっこう無理があるような。
というのは失礼でしょうか。
それなりに短いスパンで立て続けに見たはずの自分はあっさり見落としてしまいました。
一応、決定的にブルースの正体が明らかになるのは、後半におけるネットの記事やニュース映像でした。
そこまでにもちらほらと、「ブルース」という名前が出てきたりしていたので、散りばめられてはいましたが。
ただ、その映し方も非常にわかりづらかったです。
ネット記事やニュース映像ですらだいぶあっさりした数秒程度のシーンだったので、「あっ、えっ、これ、前作のストーカー!?」と戸惑い、少し戻して観直してしまったほど。
そう、正直に言えば、そもそも彼の名が「ブルース」だったことすら忘れてしまっていたのです(それは自分の問題)。
そして、とにかく。
とにかく俳優が違う点があまりにもややこしい。
そのせいで無駄に混乱しまくっていしまいました。
さて、そんな拗らせ男子ブルースくんは、元カノであるアリソン(旧)に執着して、彼女に似た女性であるローラをストーカーしたのが前作でした。
ラストではサメに襲われましたが、まさかの生きていたようです。
どうやって生き延びたかの説明が一切ないところ、あまりにも潔い。
前作の感想では「まさかブルースは生きているのか……?いやさすがにそれは……?」と書きましたが、まさかの的中。
さすがにそれはないよな……?という選択肢が現実となってしまいました。
シンプルなストーリーな割に細部がかなりわかりづらいのですが、どうやら彼の前作の犯行は露呈したようです。
まぁ、ローラが生き残ったんだから当たり前ですよね。
そして、世間的にはブルースは死んだと思われていたようですが、こっそりと生存。
そのため、生きていることがバレると逮捕されてしまうため、似た風貌のダニエルを殺害し、ダニエルになりきって生きていたのだと考えらえます。
本作の冒頭では、本作のヒロインであるアリソン(新)とその弟ケビンを助けました。
その後、マスコミが押し寄せた際には、ブルースは姿を消しています。
それはきっと、自分の姿をテレビで流されるとまずいと思ったからでしょう。
肝心なところでは、アリソン(新)を好きになり、執着してストーカーするようになった理由はまったくわかりません。
本作で描かれていた限りの情報では、ただアリソン(旧)と名前が一緒だったから、ぐらいしか考えられませんが、そうだとすればもはや「誰でもいいんかい」としか言えません。
まぁストーカーはけっこう、対象が変わると以前の対象に一切興味がなくなったりもするので、リアルと言えばリアルですが。
リアルストーカー視点で言えば、前作のヒロイン・ローラへの執着心が一切なくなっているのはやや不自然。
このわたしをここまでコケにしたおバカさんを、自己愛と執着心の強い彼が許すとも思えません。
「『サメストーカー』という邦題が誤解を招く」といったことを『サメストーカー ビギニング』の感想で書きましたが、日本で公開されたのが2作目である本作だというのを踏まえると、やや納得できました。
それでも「サメストーカー」というイメージとはズレを感じますが、殺害や遺体の処理にサメを使ってはいましたからね。
ちゃんと綺麗に食べてくれるかは疑問ですが、動物に食べさせてしまうというのは、完全犯罪の王道です(?)。
というか、ブルースの連続性があるので、2作目から観ても絶対訳わかりませんよね。
日本では2作目作を最初に公開したのは、さらに謎が深まります。
そして、本作で一番謎なのが、冒頭でブルースがサメを操っているかのようなシーンがあったこと。
最初のシーンで1人で海の中にいたときもそうですし、アリソン(新)を助けたときもそうでしたが、どうもサメがブルースのことを回避していたように見えました。
あれは何なのか。
もしや、前作で生き残ったときに身についたスキルなのでしょうか。
あるいは、前作でもそのスキルがあったから生き延びたということなのでしょうか。
そうだとすると、本作のラストも結局生き延びられることになってしまいますが……?
まさか3作目にもブルースが出てきたら、さすがに笑ってしまいますが……?
もしかしたら、別にそんなスキルなどなく、ただたまたまサメに襲われなかっただけなのかもしれません。
そうだとすると、何やら手を翳すような動きをしていたブルース、だいぶ厨二かも。
サメは前回よりも出番は多く、クオリティも頑張っていました。
相変わらず捕食シーンはないのと、だいぶ小柄でしたが。
全体的に前作が綺麗にまとまっていたので、本作は印象に残るシーンがやや少なめだったかも。
ストーカーとしての粘着度や狂気度も前回の方が高かったような気がします。
登場人物たちも前作の方が魅力的だったような……。
お母さんは、定番の「大丈夫よ大丈夫よ」と油断しまくりな対応はもやもやしましたが、子ども想いで頑張っていたので、生き残ってくれて良かったです。
というより、銃で信号弾を撃った後、のっしのっしと歩いてきて、容赦なくブルースを海に突き落とす姿、あまりにも強者すぎました。
あのシーンでお母さんが全部持っていった感。
そんなわけで正直さほど書くこともないのですが、肝心なところにわかりづらさはあれど、相変わらず楽しめました。
そして、いよいよ次がラストの3作目『サメストーカー リターンズ』。
果たしてブルースは生きているのか……?
というかこれ、リターンズって……絶対戻ってきません……?
乞うご期待。
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