【映画】呪い襲い殺す(ネタバレ感想・考察)

映画『呪い襲い殺す』
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作品の概要と感想とちょっとだけ考察(ネタバレあり)

女子高生のレインは友人デビーの突然の死に疑問を抱き、友人たちを誘ってウィジャボードで彼女の霊を呼び出そうとする。
ところが、古い亡霊ボードに眠っていた邪悪な力を呼び起こしてしまったことから思いがけない事態に陥ってしまう──。

2014年製作、アメリカの作品。
原題は『Ouija』。

原題は「ウィジャ」と読み、フランス語の「はい」を意味する「oui」と、ドイツ語の「はい」を意味する「ja」を組み合わせた造語。
本作にも出てくるウィジャボードは、1890年代に、降霊術で使われていた道具を、イライジャ・ボンドという発明家がゲームとして商品化したもののようです。

日本でいうコックリさん。
霊という概念や霊との交信というのは、国や文化を超えて人の関心を惹きつけるものであるというのを改めて感じ、興味深い。


そんな『Ouija』が、なぜ『呪い襲い殺す』という邦題になってしまったのかは、最大の謎です。
「何でこうなった?」な邦題は挙げればキリがありませんが、本作もその一つに名を連ねるでしょう。
担当者が締め切りぎりぎりまで徹夜で考えたけれど思いつかず、寝てないテンションの勢いでつけてしまった邦題としか思えません。
あまりにも魅力に乏しいタイトルですが、シンプルに『ウィジャ』だと、さらに魅力が乏しく、意味がわからない人も多いですかね。
一度見たら忘れないタイトルでもあるので、これはこれで秀逸なのでしょうか。

マイケル・ベイとジェイソン・ブラムが共同プロデュースという豪華な作品で、否が応でも期待は高まりますが、思ったより地味な作品でした
とはいえ、オカルトモノはやはり派手にすると現実離れし過ぎてしまいますし、バランスが難しいですね。

ホラー好きとしては物足りなさも感じてしまいましたが、丁寧な作りで、オカルトホラー入門には最適かもしれません。
肝心なところで懐中電灯が消えるところから思わせぶりなラストまで、ベッタベタにベーシックな演出。
ウィジャボードは色々なアメリカのホラー作品に出てくるので、「ウィジャボードとはどんなものか」を知るのにも良い1作でした。


出だしこそ良かったですが、1時間弱ほとんど何も起こらないので、丁寧な展開といえば丁寧ですが、ちょっともどかしくもありました。
みんな大切な友人を失ったお互いを思い遣っており、空気が読めなかったり苛立つ言動をする登場人物がいなかったのは好印象。
レインがみんなを振り回してしまいましたが、ちゃんと反省もしていて偉い(みんな死んじゃいましたが)。

終盤は急に展開が早くなり、仲間たちが意外とあっさり死んでいってしまったところは、バリエーションも少なく物足りなさを感じてしまうポイントでした。
口が縫われるのは良い演出でしたが、白目になるところなどはさほど斬新なわけでもなく。
ホラーとしては、プランシェット(ボードの文字を示す道具)越しにドリス・ザンダー(口を縫われた少女)と母親の姿が見えたあたりがピーク。

しかし、みんな大好きリン・シェイの登場が熱かったです。
主人公のレインを騙すなど、しっかりとキーパーソンになっていました。
レインを演じたオリビア・クックは、とにかく目が大きかったのが印象的。

リン・シェイ演じるポーリーナ・ザンダーの登場を境に、ストーリーも二転三転。
ただ、シンプルな割に少しとっ散らかっていた印象もありました。

整理すると結局、もともとデビーの家にはザンダー母娘が住んでおり、霊媒師だった母親のアリスは降霊術を行い、霊魂の声を聞くために娘のドリスを器とします。
しかし、死の世界とこちらの世界の繋がりを断てなくなったため、ドリスは悪霊に取り憑かれてしまいました。

母親のアリスは、悪霊の言葉を遮るためにドリスの口を縫いました(ママ、めっちゃ物理で強引!)。
その後、どういう経緯でドリスが死んだのかはわかりませんが、悪霊として復活しようとしたドリスを、アリスは止めようとします。
しかし、ドリスの姉ポーリーナが、ドリスを助けるために母親であるアリスを殺害しました。

そんな呪われた家にあったウィジャボードをデビーが見つけ、ウィジャボードのルールを破って1人で遊んでしまったために呪われ、死亡。
あのウィジャボードは、ザンダー親子のものだったのですかね。
写真とかと一緒に屋根裏部屋にあったのでおそらくそうなのでしょうが、そうでなくても、ドリスの遺体が眠るあの家でウィジャボードを1人で使ってしまったため、ドリスの霊が目覚めた、とも解釈できるでしょうか。

しかし、ウィジャボードのルールも若干曖昧だった感が否めませんでした。
「墓場でウィジャをやってしまった」というのがレインたちのルール違反でしたが、「地下の秘密の部屋にドリスの死体があったので、家は墓場も同然だった」というのは、拡大解釈な気もします。
とはいえ、実際にルール違反扱いされてしまったので、人間側にはどうしようもありません。

レインはポーリーンに騙され、ドリスの口に縫われた糸を切り、悪霊を解放してしまいました。
ポーリーンの目的もいまいちわかりませんでしたが、「ドリスを助けたら、ドリスは自分のことを好きになってくれる」というのが目的のようでした。
ドリスとの「約束」というのが、「助けてくれたらポーリーンを好きになってあげる」ということなのか、さらにその先があるのかも不明。
ずっと精神病院に入院していた点からは、何かしら勝手に思い込みんでいたり、錯乱していた可能性もあるのかもしれません。

というわけで、このあたりが背景設定の鍵ではありましたが、目的がはっきりしないので、ストーリー上はもやもやが残ります
とにかく、ドリスが完全に解放されてしまったので、友達みんな死んじゃった、というのが本作でした。
ポーリーンはポーリーンで妹のドリスのことを大切に思っていたと考えると、「レイン&サラ vs. ドリス&ポーリーン」という姉妹対決な作品でもありました。


ラストのドリスとの対決では、デビーの霊(?)がレインを助けてくれました。
ずっと描かれていた友情の伏線回収でもありましたが、どうにもデビーがつやっつやで生気に溢れていたので、個人的にはちょっと醒めてしまったのが残念なところ。
その隙に、もはやミイラと呼んで良いドリスの遺体を抱えて運んで火の中に放り投げたレインの妹サラが、一番勇気がありファインプレーだったと言えるでしょう。

長い付き合いのレインは別格で大切な存在であったのと、ウィジャボードがあったからあのシーンでデビーは登場できたのかもしれませんが、恋人だったピートが殺される際には完全スルーだったのは、ピートはちょっとかわいそう。
サラが付き合っていたかなり年上の男性?というのは、何の伏線でもありませんでした。
複雑そうなレイン&サラ家の家族事情も一切不明。
レインたちを助けてくれる「導く者」の役割は、ポーリーンと見せかけて彼女は敵であり、実際はお手伝いさん?のノナだったというのは面白い。

あとは、ドリスの生きていた時代にはパソコンなどはなかったので、パソコンの画面上に「HI FRIEND」が表示されていた点などは、個人的にちょっとマイナスに感じてしまいました。
だいぶ細かいところで、性格の悪い視点であるのは理解していますが、オカルトだからこそ、そういう細かい点で違和感を感じさせないのも大事なのかな、と思っています。
霊となっても時代に適応しようと頑張っているのかもしれませんが。

というわけで、地味でシンプルめな作りは良いのですが、ストーリーがいまいちはっきりしないので、惜しさを感じてしまった作品
いざ振り返ると、個性やインパクトは弱く、良くも悪くも長所ではあまり目立つ部分がないので、ついつい引っかかる部分をピックアップする感じになってしまいましたが、悪くはありません。
ジャンプスケは多めでしたが、変に霊のビジュアルに頼らず、雰囲気で怖がらせようとする演出は良かったです。
本作には続編の前日譚があり、そちらの方がどうも評価は高いようなので、続編もいずれ観てみたいと思います。

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