【映画】オーメン666(ネタバレ感想)

映画『オーメン666』のポスター
(C)2006 TENTIETH CENTURY FOX
スポンサーリンク

 

作品の概要と感想(ネタバレあり)

映画『オーメン666』のシーン
(C)2006 TENTIETH CENTURY FOX

6月6日午前6時、アメリカ人の若き外交官ロバート・ソーンは、ローマの病院で妻ケイトが産んだ赤ん坊が死亡したことを聞かされる。
ショックに打ちのめされたロバートには、二度と子供が産めない体になってしまったケイトに、その非情な事実を告げることは出来なかった。
すると、病院の神父が、出産中に命を落としたある母親の赤ん坊を差し出し、その子を引き取るよう勧めてくる。
ロバートはその経緯をケイトに明かさぬまま、2人の子供として育てることにする。
その子の名はダミアン。
幸せに育てられる……はずだったが、やがて“不吉な前兆”が起こる──。

2006年製作、アメリカの作品。
原題も『The Omen』で「前兆」「予兆」といった意味合い。

もはや改めて説明するまでもない、『エクソシスト』と並ぶ1970年代のオカルトホラーの金字塔『オーメン』
本作はその第1作目のリメイク版です。

1976年版の『オーメン』は、確か中学生頃にレンタルして観たような記憶です。
まだあまり数多くホラー映画を観ていなかったこともあり、衝撃を受け、思い出深く好きな作品の一つ。
オリジナル版はその後も2〜3回ほど観ていると思いますが、リメイク版は観たいと思いながらもなかなか機会がなく、満を持してようやく鑑賞。

まず思ったのは、すでに多く言われていますがやはり「オリジナル版に非常に忠実なリメイク」だったことですね。
オリジナル版を最後に観たのはけっこう前なので曖昧な部分もありますが、大筋はまったく一緒と言って差し支えないでしょう。
小道具が現代的になっていたり、死に方がちょっと変わっている程度。
あとは現代らしく(?)ジャンプスケアがやや多め。
脚本がオリジナル版と同じデヴィッド・セルツァーなので、当時の脚本を使って違う監督で撮り直しただけなのではないかと思ったほどでした

しかし、前にも書いているかもしれませんが、リメイクというのは難しいですね。
オリジナルに完全忠実なのであれば、オリジナル版で良い、となってしまいます。
本リメイク版も非常に完成度は高いですが、思い出補正や古めかしさも含めてやはりオリジナル版好きはオリジナル版への愛が強いのではないでしょうか。
かといって変に手を加えても批判されがちですし。

ただ、本作は忠実なリメイクであるため、オリジナル版を観たことがない層にも安心して観てもらえるのが強みでしょう。
オリジナル版を観たことがなければ、やはり味はあっても古さは感じてしまうものです。
リメイクは「まだ観たことがない人にも新たに知ってもらえる、観てもらえる」というのが一番意義としては大きく、オリジナル版と比較して批判するのは的外れなのだろうと思うので、気をつけたいところ。


『オーメン』に話を戻すと、リメイク版ですら2006年なので、小道具が現代的と言ってもガラケーが使用されているなど早くも古めかしくなってきてはいますが、そういった小道具や街並みが変わってもまったく色褪せることがないのは、時代の変化に影響されない本質的な恐怖を描いているからなのでしょう
ダミアンが自宅内でキャサリンを突き落とした際、原作は三輪車だったと記憶していますが、キックスケーターに乗っていたのはちょっと笑ってしまいました。
冒頭では現実の9.11や津波の映像が使われていましたが、30年の間に、負の予言を表現できる現実の出来事が生じてしまったことは、何とも言えない気持ちにもなります。

どうやら本リメイクは、2006年06月06日という、6が三つ揃う日に公開するために作られたようです
キリスト教圏において「666」が不吉な数字であるという知識を広く知らしめたのも、本作なのではないでしょうか。
2006年を逃せば、「6」ではなく「06」で揃えるためには次は3006年まで待つしかありません。
ちょうど30周年とキリが良かったのも奇跡的ですが、おそらくリメイク企画ありきだったであろう割には、しっかりとした素晴らしいリメイクであったと感じます。

ちなみに、666という数字が獣の数字(悪魔の数字)とされる由来は、新約聖書の「ヨハネの黙示録」に由来します。
それは以下の文章です。

賢い人は、あの獣の数字を計算しなさい。
それは人間の名を指す数字である。
その数字は六百六十六である。

新約聖書(第13章)

これについては解釈が諸説ありますが、暴君と呼ばれた皇帝ネロを指すという説が有力です

では、なぜこのような回りくどい表現になっているのでしょうか。
聖書についてわかりやすく解説された白取春彦『この一冊で「聖書」がわかる!』によれば、当時のローマにおいてキリスト教は迫害されていました。
そのためヨハネは、キリスト教徒にはわかるけれどローマ人などには意味がわからないように、象徴や寓話の形にしてキリスト教徒を励ますためにこの黙示録を記したそうです。

同書籍では『オーメン』についても触れられています。

よって、神秘の数字666は、キリスト教徒を迫害している皇帝ネロを指すことになる。
そうして、もう一度先ほどの文章を読んでみると、皇帝ネロが自分の像を造って礼拝させ、礼拝しない者は殺していた、ということがわかるのである。
ホラー映画『オーメン』では666は悪魔の数字だとしているが、考えすぎであろう。

白取春彦『この一冊で「聖書」がわかる!』

ダミアンくんの神秘性、「考えすぎであろう」の一言で一蹴されており、笑ってしまいました。
もちろん、それはそれ、これはこれとして『オーメン』の設定は好きです。


少し内容に入ると、犠牲者たちの死に方も、乳母の首吊り、ブレナン神父の串刺しと、少し派手に演出されながらもインパクトがあったオリジナル版に忠実
笑顔で突然首吊りをした乳母は、オリジナル版を観た当時、かなりの衝撃を受けました。

続くキャサリンの最終的な殺され方は、オリジナル版は確か病院の窓から突き落とされたような記憶でしたが、リメイク版では血液に空気を入れるというより狡猾な感じに。
ただ、緊急のコールはすぐに止めていましたが、さすがにキャサリンの死はすぐに発覚するであろうことを考えると、直前にお見舞いに来ていたベイロックは確実に疑われる気がします。
待っていたダミアンが警備員の様子をおかしくさせていたので、あのあと警備員がおかしな行動をして犯人に仕立て上げられたのかもしれませんが。

そして、一番変わっていたのはカメラマンのキース・ジェニングスの死。
首の切断というのは同じでしたが、さすがにオリジナル版のガラス板のインパクトが強すぎました。
ただ、ここまでは基本忠実に再現してきたのに、あえてこのシーンを大きく変更したのは攻めの姿勢を感じ、これはこれで好きでした

オリジナル版の記憶は曖昧ですが、夜中にダミアンがサンドイッチを作っていたシーンは、オリジナル版ではなかったような。
あれは隠れて飼っていた黒犬のために作っていたんですかね。
でもそれならベイロックが準備すれば良いか……ただお腹が空いてたのかな。
悪魔の子、可愛いじゃない

ダミアンもやはりオリジナル版のイメージが強いですが、本作のダミアン少年の表情も不気味さがあって良かったと思います。
むすっとしていてもちょっと可愛さが滲み出ていましたが。
ちなみにオリジナル版でダミアンを演じたハーヴェイ・スペンサー・スティーヴンスも、ちょい役で出演してたようです。

配役で言えば、ベイロック夫人は、こちらも『エクソシスト』『オーメン』よりさらに先駆けるオカルトホラーの金字塔『ローズマリーの赤ちゃん』で悪魔の子を産んだローズマリーを演じたミア・ファローが演じていたとのことで、因果やこだわりを感じます。
全編通して全身から醸し出す圧倒的不穏感はもちろん、終盤でロバートが乗った車に立ち向かう姿は鬼気迫る狂気を感じさせ、お見事でした


リメイク版で気になってしまった点があるとすれば、「見たことある!」という顔ぶれが多かったことですかね。

キャサリンを演じていたジュリア・スタイルズは、『エスター ファースト・キル』で初めて見た印象が強烈。
ネタバレになるので詳細は避けますが、『エスター ファースト・キル』では癖の強い役を演じていたので、お顔の圧、すぐに気がつきました

ブレナン神父を演じていたピート・ポスルスウェイトは、個人的に好きで小さい頃から何回も観ていた『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』で演じていた、恐竜を売りさばく悪役のボスのイメージ。
そのせいで、ブレナン神父がどうにもワル顔に見えてしまいました
ちなみに、ピート・ポスルスウェイトは2011年に64歳という若さで亡くなられているようです。
残念。

そして何より、カメラマンのジェニングスを演じたデヴィッド・シューリス。
無駄に(?)イケメン!
っていうかめちゃくちゃ見たことありすぎる!

と思ったところ、『ハリー・ポッター』シリーズのリーマス・ジョン・ルーピン先生でした。
ちょうど最近、『ハリー・ポッター』シリーズを観ていたもので……。
ロバートにダミアンを押しつけたスピレット神父は、火事により顔が焼け爛れてしまっていましたが、デヴィッド・シューリスの前ではもはやヴォルデモートにしか見えませんでした

これらはもちろんマイナスポイントというわけではなく、単純に自分が観た順番による影響というだけですが、やはりホラーで知った顔が出てくると、しかもそれがホラー映画以外でのイメージが強いと、若干気は散ってしまいますね。
ホラー映画で無名のキャストを使うというのは、コスト的な面も大きいでしょうが、作品によってはリアリティや没入感という意味でもプラスに働いているんだなと思いました。


『オーメン』の恐怖は、やはり知らぬ間に悪魔が人間世界に入り込んでいるという設定と、ダミアンに不都合な人たちが次々と不審死を遂げていくいくところでしょう。
悪魔の怖さはキリスト教徒ではないのでいまいちピンとこないところもありますが、全編通じて漂う不吉な雰囲気は素晴らしい
シンプルながら音楽も緊迫感を高めていました。
事故死のように人が死んでいくというのは、のちの『ファイナル・デスティネーション』などにも影響を与えた部分があるのかもしれません。

と、内容というよりはリメイクに関しての感想が多くなってしまいましたが、オリジナル版ですでに完成しているというのは言わずもがなであるとしても、オリジナル版好きでも満足のいく、完成度の高いリメイクでした

コメント

タイトルとURLをコピーしました