【映画】アンフレンデッド(ネタバレ感想)

映画『アンフレンデッド』のポスター
(C)2014 Universal Studios. All Rights Reserved.
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作品の概要と感想(ネタバレあり)

映画『アンフレンデッド』のポスター
(C)2014 Universal Studios. All Rights Reserved.

ネット上にアップされた動画を苦に自ら命を絶ったローラ・バーンズ。
彼女の死から1年後、ローラの友人たちがSkypeで他愛のない会話をしていると、見知らぬアカウントがローラ・バーンズとして話しかけてきた。
彼らの秘密が徐々に暴露され、1人ずつ謎の死を遂げていく──。

2014年製作、アメリカの作品。
原題も『Unfriended』。

「unfriend」はFacebookで友達から外すことを意味するようなので、ダブルミーニング的なタイトルですかね。
ローラとブレアはもちろん、結局全員友達じゃなかったんじゃない?という意味も込められているように思います。


以前書いた『ズーム/見えない参加者』と同じく、ビデオ通話の画面のみで展開されていくホラーです。
とはいえ、『ズーム/見えない参加者』は2020年製作の作品なので、『アンフレンデッド』の方が先駆的作品

それもあってか、『ズーム/見えない参加者』と比べるとだいぶシンプルな印象を受けました。
「いじめを苦に自殺した友人の霊(?)に、Skypeを通して1人ずつ殺されていく」という要約だけで、すべてが説明できます。
最後の一瞬以外はずっとパソコンの画面上なのも、徹底してシンプルで良いです。

そのため、考察ポイントはほとんどなし。


感想としては、『ズーム/見えない参加者』を先に見てしまっていたので、やはり少々物足りなさは感じてしまいました。
ただ、「呪い殺される」という図式は古典も古典ですが、Skypeという現代的なツールを用いるだけで圧倒的なオリジナリティを発揮できるところは、まだまだアイデア次第でホラー作品もいくらでも作り出せるんだなということを感じさせてくれます。

2014年のSkypeなので、動きがもっさりしているところがもどかしいポイントです。
処理落ちしている映像は、それだけでホラーっぽいのが面白いですね。
ただ、肝心なシーンで毎度電波が悪くなるのは、やはりもどかしさが先行してしまいます。


本作では、Skype以外にもSNSやアプリがフル活用されていました。
ビデオ通話はSkype(Microsoft)、チャットはMassage(Apple)、ブラウザはChrome(Google)、SNSはfacebook、音楽はSpotifyと、特定のブランドに偏っていないところが偉いです。
というのは深読みのし過ぎで、単にそれが当時のアメリカの一般的ツールだっただけかもしれません。
OSはMacでした。

主人公、というより観客の視点を担っていたブレアは、それらのアプリを入れ替わり立ち替わり並行して使っていくので、情報量も多め。
あまり他の人の話を聞いちゃいません。
U-NEXTで観たので他でも同じかわかりませんが、字幕が下だけでなく左右にも表示されたり、その表示が同時だったり時間が短かったりもするので、字幕だけに頼ると追いかけるので精一杯になってしまいました。


『アンフレンデッド』で印象的なのは、とにかく騒がしいことでしょう。
主に若者6人(徐々に減少)のビデオ通話シーンが作品の大半を占めますが、9割ほどはぎゃーぎゃーと騒いでいます。
画面だけで緊迫感を出すには騒ぐしかないのですが、それにしても騒がしい。
『ズーム/見えない参加者』も騒がしかったですが、それを上回る騒がしさ。
現実的に対処していたのは、ハッカー(?)のケンぐらいでした。

怖がって騒ぐならまだしも、とにかく誰かが誰かを罵倒し合うシーンが多かったので、それも疲れる要因でした。
ホラーでは「やっぱり人間が一番怖い系」が定番ですが、その表現で言えば本作は「人間が醜い系」でしょうか。
こういった作品では、だいたい1人(大抵は主人公的ポジション)はまともな人物がいることが多いですが、『アンフレンデッド』では見事にみんな人間性に難ありです。

デジタルタトゥーや自殺の配信など、現代的な問題もしっかりと取り扱われていました。
そもそも『アンフレンデッド』は、単なるビデオ通話ホラーというより、ネットいじめを大きなテーマとしていたようなので、そもそものコンセプトが『ズーム/見えない参加者』とは異なります。
タイトルも『Offline』から『Cybernatural』を経て、最終的に『Unfriended』になったそうです。

そのために、「ネット上における人間の裏面」もあえて強調されていたのだろうと感じました。
特に、主人公ポジションであり、序盤ではまともに見えたブレアが、実は一番鬼畜だったことが徐々に明かされていく展開は、悪意が強くて好きです。
シンプルに、当時のティーンエイジャー向けの作品だったのかな。


演出面は、比較的単調。
『ズーム/見えない参加者』では「Zoomあるある」な演出が多用されて飽きさせない工夫がなされていましたが、『アンフレンデッド』では時代背景もあってか「画面が乱れて、1人ずつ自殺するシーンがちらっと映る」の繰り返し
色々な方法で自殺していくのは面白かったです(特にミキサーに手を突っ込んでいたケン)。
最後の最後ではローラが一瞬姿を現して終わるところも、ド定番・ド直球過ぎてむしろ清々しい。

「チャットしている相手が誰だかわからない」というのは、ネット特有の恐怖感でもあると思います。
それが今回は死者ということでしたが、せっかく見つけた「怪奇現象フォーラム」が活かせなかったのが残念でした。

最初の、

「死者からのメッセージに応えるな」

は、見た時点ですでに応えてしまっていたので仕方ないですが、

「亡霊と戦うには?」
「罪を告白しないと自殺させられる」
「罪を正直に告白しろ」

は、せっかく助かる方法が提示されていたのにまったく活用できず
むしろ仲違いに使われて終わりでした。

ここで言う「罪」の範囲が微妙で、ローラ・バーンズに関係ない罪(浮気とかドラッグとか)でも正直に告白しないといけなかったのかもわかりません。
そもそも、怪奇現象フォーラムに載っていたのと同じ現象かもわかりませんし、ローラはみんなが罪を認め告白したとて許す気もなかったかもしれませんけどね。

いずれにしても、あんな決定的な動画(ラストの「ばっちり!」の動画)が残っていたのは自分でわかっていたでしょうに、告白しなかったブレアは自業自得でしかありません。
「そんなつもりじゃなかったの!私たちあんなに仲が良かったじゃない!」という、いじめ加害者のテンプレのような言い訳をしながら死んでいったブレア。
終盤はもう、観客たちはみんなローラに同情していたことでしょう。


ちなみに、日本版のポスターがめちゃくちゃになるのはよくあることですが、

「アナタモ、SNSデ呪ワレル。」
「検索したら呪われる──。」

というキャッチフレーズは、さすがに内容からずれ過ぎていて笑えてきます

続編の『アンフレンデッド:ダークウェブ』も、近いうちに観てみたい。

追記

『アンフレンデッド ダークウェブ』(2023/04/27)

続編『アンフレンデッド ダークウェブ』の感想・考察をアップしました。



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