【映画】モーテル(ネタバレ感想)

映画『モーテル』のポスター
(C) 2007 Screen Gems, Inc. All rights reserved.
スポンサーリンク

 

作品の概要と感想(ネタバレあり)

映画『モーテル』のシーン
(C) 2007 Screen Gems, Inc. All rights reserved.

離婚寸前の夫婦デビッドとエイミーは、車が故障したために田舎町の寂れたモーテルに宿を取る。
部屋に置かれていたビデオテープをデビッドが再生すると、そこには残虐な殺人シーンが録画されていた。
撮影現場が今まさに自分たちがいる部屋であることに気付いた2人は、モーテルから脱出しようとするが──。

2007年製作、アメリカの作品。

原題は『Vacancy』で「空室」の意。
邦題が『モーテル』になったのは、わかりやすくもありますが、『ホステル』と間違えて手に取らせるためだったのでは?と穿った見方をしてしまいます。


『モーテル』は、荒木飛呂彦が言うところの「田舎に行ったら襲われた系ホラー」を地で行く作品でした。
泊まったモーテルが自家製スナッフフィルムを製造・販売しているトンデモモーテルだったよ、というだけのお話。

そのため、考察ポイントはほとんどありません。
それでも面白いので、シンプルイズベスト
観終わったあとには何も残りませんが、やはりこういう作品、好きです。


宿泊先がとんでもないところだった系の作品は多々ありますが、その中でもなかなか飽きさせない作りになっていたように感じました。
前半はぐだぐだと引っ張るのがこのような作品の常ですが、その過程の退屈度も低めな印象。

それはおそらく、モーテルには早々に到着し、そこでまず不可解な現象が起こるなど、けっこう色々な展開を見せているからでしょう。
序盤からけっこう上手く緊張感が維持されていました。
サバイバー側が2人だけ、舞台がほとんどモーテルだけ、の割にはかなり頑張っていたと思います。
個人的にはグロが物足りなかったですが、こういった作品でグロに頼らず頑張っていたのも偉い。

もはやだいたい「人間怖い系のトンデモモーテル映画」というのを知ってから観始める人が多かったのではないかと思いますが、あらすじも何も知らずに観たら、ドアのノックは「怪奇現象系なのか?」という選択肢も示すもので、序盤ではまだ話がどう転ぶのか読めなくさせる演出でもありました。
殺人モーテルと知っているから執拗なドアノックはやや冗長にも感じましたが、それは事前情報の弊害なだけで、そういった意味では上手い構成だったように思います。


ビデオを観たらこの部屋での殺人だった、というのも面白く、「自分だったらどうするだろう」と思わせる引き込み具合も見事。
主人公夫婦が没個性的だったからか、そこまで愚かな行動をしなかったからかわかりませんが、けっこう主観的な体験感を感じさせる作品だったように思います。
あんなに周りに何もないところで襲われたらどうしようもなく、アメリカの田舎は本当に怖いな(=ホラーに最適だな)、と痛感します。


一方、犯人側がややお間抜けなのはご愛嬌。
毎回あのトンネルを通って部屋に忍び込んでいるのかと思うと、ちょっと面白いです。
おかげですっかり慣れきっているようで、もはや地底人かと思うほどハイスピードで移動していました。
毎回あのネズミの群れを突っ切っているのかと思うと、感染症とか心配。

ダッシュも陸上選手かと思うほど綺麗なフォームでした。
天井の窓から車に突っ込む姿も、もはや勇敢に過ぎます。
あれが仕事ですからね、普段から鍛えているのでしょう。

デビッド&エイミー夫婦が宿泊してから、一瞬、背景のバスルームに犯人が映るシーンがありました。
また、りんごを置いていたことからも、襲う前に何回かは部屋に侵入していたはずです。
ですが、夫婦がバスルームを調べた際には誰もいなかったので一旦トンネルに戻ったのだと思われますが、トンネル側からバスマットとかどうやって整えたんですかね。
というのは、重箱の隅でしょうか。

襲いかかり方も中途半端でもどかしいですが、怖がらせる様子も撮影する、という目的であれば説明もつきます。
夫婦の演技も上手く、それもリアリティある緊張感を感じさせる一因でした。
刺されたデビッドの演技も、迫真。


こういった作品では、夫婦は喧嘩しているか不仲、離婚直前、あるいはすでに離婚していることがほとんどです。
「困難を乗り越えてお互いの大切さを再確認し、わだかまりが解け仲が深まる」という愛情物語な要素もあるのだと思いますが、だいたいぐだぐだと喧嘩することで時間を稼いでいるのかな?と、こちらも少々穿った見方をしてしまいます。

ただ、そのような喧嘩シーンは「しょうもな」と観ている方がイライラしてくることも少なくありませんが、『モーテル』はその度合いも低かったです。
今回の事件後も、時間が経てばまた不仲になりそうな2人である気はしますが、自己中すぎる言動は2人とも少なめでした。


展開としては、警察官が1晩戻らなかったのに警察側に何も動きがないのと、あれだけ出血して1晩倒れたままだったデビッドが生きていた、というのはやはり不自然さが目立ちます
それなりに上手く展開していたのに、突っ込みポイントがラスト近くに集中してしまっているのが、惜しい点でした。

犯人側の死に様もそうですが、特にラストが本当にあっけなくて、「あっ、え、これで終わり?」と思ってしまいました。
すごくストレートで何ひとつ捻りがなかったのが、潔いと言えば潔い。

結局、ガソリンスタンドのスタッフもグルだったのでしょうか。
車は直っていなかったですし、あの近さで何も知らないというのも無理がありますし、こういった作品の定番で言えばグルだったと考えるのが自然ですが、結局最後まで再登場しなかったのでわかりませんね。
定番だからこそ、ホラー好きに向けて「わかるだろう?」と、あえてはっきり描いていなかったのかもしれません。

最後、妻のエイミーが生き残って夜が明けたときには、「絶対に出勤してきたガソリンスタンドスタッフに助けを求めて襲われる」と思っていたのですが、それすらなかったというのは、ある意味予想を裏切る展開でした。

まさかの続編もあるようなので、見てみたいと思います。

スポンサーリンク

追記

モーテル2(2022/12/05)

続編『モーテル2』の感想・考察をアップしました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました