【映画】恐怖人形(ネタバレ感想・考察)

映画『恐怖人形』のポスター
(C)2019 映画「恐怖人形」製作委員会
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作品の概要と感想(ネタバレあり)

映画『恐怖人形』のシーン
(C)2019 映画「恐怖人形」製作委員会

女子大生の平井由梨は日々、趣味のカメラで幼なじみの真人と日常の風景を撮影していた。
そんなある日、由梨の自宅に差出人不明のパーティの案内が届く。
少し怪しげな案内状ではあったが、真人のところにも同じものが届いていたことから、2人は軽い気持ちでパーティに参加することに。
案内状に記された集合場所に到着すると、そこには同世代の男女5人と1人の中年男性がいた。
8人はそこからワゴン車でパーティ会場となるキャンプ場に向かうが、そこで決して引き返すことのできないパーティに参加させられることになる──。

2019年製作、日本の作品。

でっかい日本人形が、チェーンソー抱えて走ってる!

というシーンの存在を知ってから、ずっと観なきゃ観なきゃと思っていた作品です。

でっかい日本人形が、チェーンソー抱えて走ってた!

というわけで、大きくなった日本人形が襲いかかってくるという、ありそうでなかった作品。
いや、全然「ありそう」ではなかったかもしれません。

突っ込みどころは多く、完全にネタ枠寄りな作品ではありますが、なかなかどうして、個人的にだいぶ好きでした
「ホラー映画としておすすめできるか?」「純粋に面白いか?」と問われるとやや言葉に詰まりますが、プロットはほとんど『13日の金曜日』ですし、終盤の誕生日パーティなんて『悪魔のいけにえ』味がありますし、ホラーファンにこそ熱い構成でもありました

日向坂46の小坂菜緒を筆頭に、登場人物たちの演技も上手いかというとこれまた微妙ですが、違和感なく観ることができました。
みんな見た目から内面まで個性が強かったので、序盤から見分けるのが簡単なのも親切
若者たちも良かったですし、萩原聖人の固めが何よりの安定感。

萩原利久演じる真人に尋常じゃない既視感を抱きましたが、『牛首村』でした。
好きな女の子に振り回される、というポジションがまったく同じ。
ちなみに、日向坂46ファンのことを「おひさま」というらしいのですが、作中での「おひさま」推しはファンサービスでもあったんですかね。


「因縁の地に若者が集まり順番に殺されていく」というのは、まさに『13日の金曜日』式スラッシャー映画。
海外には多いですが、日本では珍しいように感じました。

イチャイチャしているカップルから殺されるというのもド定番ですが、それがまさかの百合カップルというのは、ちょっと日本らしさでもあるのでしょうか。
また、これもまた和製ホラーにおける伝家の宝刀「日本人形の呪い」かと思いきや、まさかの人間の仕業という展開

このように、定番と見せかけて外してくる攻めの姿勢が、個人的には高評価でした。
クマ対策のトラップや「クマが出たら私が仕留めますが」といった台詞がしっかり伏線になっていたところも好き。
最後は巨大日本人形の眉間をがっつり撃ち抜いていましたが、あそこたぶん、空洞ですよね

巨大日本人形はもはや可愛いですが、実際に本当に現実にあの状況に置かれたら、怖いかなと思いました。
ただ、実際に現実に本当にあんなのが現れたら、まず着ぐるみを疑う気もします。

いずれにしても、巨大日本人形がチェンソー抱えて走った時点で、しっかりと爪痕を残した映画になりました。


人間の仕業だったというのは意外性はありましたが、ちょっと強引さも感じてはしまいました
でも、そこも『13日の金曜日』らしさもあって良いかも。
後半はサスペンスっぽくなっていったので、一番ホラーだったのはオープニング映像。

これまで散々馬鹿にされてきたらしく、「ついに本物の呪いを見つけた!これであいつらを見返してやる!」と歓喜して意気込んでいた和田教授ですが、結局本物の呪いじゃなかったのでかわいそうでしたね(どちらにしろ死んでしまいましたが)。
「この人形のキャパシティはすごい!」とかドヤ顔で語っていたのがピエロすぎて、同情。

細かい部分を見ると整合性が取れない部分も出てきてはしまいそうなのですが、後半では諸々明確に明かされなかった点について検討してみます。

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考察:犯人の目的や、謎ポイント(ネタバレあり)

映画『恐怖人形』のシーン
(C)2019 映画「恐怖人形」製作委員会

犯人の目的

結局、犯人は萩原聖人演じる北沢であり、彼が巨大日本人形の着ぐるみを着て殺戮を行っていた、というのが真相でした。
北沢というのは過去のサマーキャンプの引率員の名前であり、萩原聖人が演じていたのは本当は北沢という名前ではありませんでしたが、ここではわかりやすく北沢と呼んでおきます。

動機としては、復讐になるのでしょうか
彼の娘ヨシコは、父親(北沢)から誕生日プレゼントにもらった日本人形を大事にしていましたが、10年前のサマーキャンプで訪れた由梨と真人以外の子どもたちによって、人形を燃やされてしまいました。
ここはまぁ、復讐が正当化されるわけではありませんが、「いじめ」「悪ノリ」を超えた悪質さがありましたね
何で初対面の子にここまでのことをしたのか、10年足らずでそんなにすっかり忘れているものか、という点はちょっと気になりました。

いずれにせよ、この事件をきっかけにヨシコは喋らず寝たきりになり、1年前に死んでしまったようです。
ショックだったのはわかりますが、何で寝たきりになって喋らなくなって死ぬほどの状態にまでなったのか?というのは、それこそ人形の呪いだったのかもしれません


ヨシコの死を機に、当時のメンバーを集めて復讐をしようとしたのが北沢でした。
あいつらのせいでヨシコは死んだんだ、と恨みを募らせていたのでしょう。

また、キャンプ場の管理人である麻生美智子も、共犯であったはずです。
飾られていた写真からは、麻生はヨシコの母であり、つまりは北沢とは夫婦であったと考えられます。

しかし、麻生は最後には北沢を撃って由梨と真人を助けてくれました。
その際、「こんなことになるなんて」と言っていたことからは、おそらく麻生は若者たちを殺害するという計画は知らなかったのでしょう

誕生日会のときには麻生も拘束されていたので、おそらく電話を直しにいったあたりで北沢は麻生を気絶させ拘束し、単独行動に走ったのだと考えられます。
ちょうど着ぐるみ日本人形が登場し始めたのも、そのタイミングでした。
電話が通じなくなったのは北沢の工作、ということになります。

もともと北沢と麻生で共有されていた計画として想像されるのは、ヨシコの死に繋がったメンバーを招き、ヨシコの死を知らせ、反省させる、といったあたりでしょうか。
ヨシコが大事にしていた日本人形を使って驚かせ、恐怖を与えたい、という思いもあったのかもしれません。

0時にパーティが開催されることになっていた点は、おそらく由梨たちが訪れた翌日がヨシコの誕生日だったのだと考えられます。
しかし、ヨシコのミイラを保存していたのは麻生が知らなかったわけはないので、麻生も麻生で終盤ではまともに見えましたが、やはりちょっとおかしくなっていたのでしょう。
死んで1年であんなミイラ状態になるか……?という点は、置いておきます。

日本人形(小)と日本人形(中)の存在

『恐怖人形』には、小さい通常の日本人形と、和田教授が拷問した中型日本人形、そして着ぐるみの大型日本人形が登場しました。

このうち、日本人形(小)は、出発当日、参加者全員の家の前に置かれていたようです。
これは、招待状を出したぐらいなので当然住所を知っていたため、北沢(と麻生?)が置いたと考えられます
招待状も住所が書かれていなかったので、直接それぞれの家のポストに投函されたはず。
全員の家を回って招待状を投函し、前日には日本人形を設置しに行くというのは、なかなかの労力です。

日本人形(中)も北沢たちが用意したと考えるのが自然ですが、よくわからないポイントが多々ありました
写真に写り込んだり、立ちションをしている徹の背景に見えたり、といった点は、北沢がわざわざ姿を隠しながら必死に置いたり隠していたと考えると、見つかるリスクも高すぎますし、やや滑稽です。
何より、和田教授に拷問されて涙を流したシーンは、まったく説明がつきません

日本人形(中)に関しては、一番合理的な説明は、映画を観ている観客を「人形の呪い」というオカルト路線にミスリードさせるための演出でしょう。

ただ、日本人形(中)だけは、本当に呪いの人形だったと捉えることも可能です。
和田教授が登場し、コテージの前に置かれていた日本人形(中)を回収したあと、麻生が現れて許可なく訪問してきた和田教授に抗議しましたが、この際、麻生は日本人形(中)についてまったく触れていなければ(物理的にも、話題としても)、視線を向けてすらいませんでした。

和田教授の拷問から脱出したあとは日本人形(中)は登場しなかったことからも、あれだけは実は麻生や北沢には見えていない、由梨たちや和田教授にしか見えていなかった本物の呪いの人形だったのかもしれません。
そう考えれば、和田教授は間違っていなかったことになり、命を賭けて呪いの存在を突き止めた彼は、何とか報われたことになります(?)。

また、ラストシーンで日本人形(大)が襲いかかってきたときには、北沢が人形の頭部も被り直していたので「律儀だな」と思いました。
しかし、女性の力とはいえ、振りかぶった消化器で頭を殴られて出血するほどの怪我を負って、あれだけ動き回れるというのもやや不自然です。
もしかしたらあのシーンも、中に北沢は入っていましたが死んでおり、実は日本人形(大)が意思を持って動いていたのかもしれない、と考えても面白いように思いました。

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