【映画】サマー・インフェルノ(ネタバレ感想・心理学的考察)

サマー・インフェルノ ポスター
(c)2014 Castelao Pictures, S.L. ・ Pantelion LLC ・ Rebelion Terrestre Film, S.L. ・ Sumcamp La Pelicula A.I.E.
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作品の概要と感想(ネタバレなし)

サマーキャンプの指導員として、翌日から始まるキャンプの準備にキャンプ場を訪れた4人。
キャンプ場で飼育していた犬が、原因不明の凶暴化を見せる。
その晩、指導員の1人、アントニオが突如襲いかかってきたのをきっかけに、恐ろしい夜の幕が切って落とされる──。

原題は、シンプルに『Summer Camp』
「インフェルノ(Inferno)」は主に「地獄」といった意味なので、邦題はやや過激さが増しています。

いやぁ、良かった。
良かったです。

「面白かった?おすすめ?観た方が良い?」と聞かれたら、「う、うーん……」と言葉に詰まってしまいますが、勢いだけで押すこの感じ、好き
ちょうど最近、『ザ・シェフ 悪魔のレシピ』から始まって『FOUND ファウンド』まで、えらい鬱々とした映画がたまたま立て続いていたので、『サマー・インフェルノ』は頭空っぽにして観られる、楽しい作品でした。

こちら↓がPrime Videoに記載されているあらすじ説明なのですが、

映画の説明

「慌てたクリ」で終わっているところが、一番ホラーです。

設定としては、意外と斬新
細かい部分は突っ込んではいけないタイプの、勢いを楽しむ作品です。

ただ、脚本もけっこうめちゃくちゃなように見せかけて、もはやコントレベルの華麗さ、そして怒涛の勢いで、登場人物たちの誤解が絡み合います
『ファイナル・デスティネーション』レベルのピタゴラスイッチ感。
もう笑っちゃうぐらい、みんな噛み合わない
登場人物の1人、ウィルの踏んだり蹴ったり具合は、もはや『ダイ・ハード』のジョン・マクレーン刑事(ブルース・ウィリス)並みです。

そんなわけで、細かい部分や整合性を考察すべき作品ではありませんが、ちょっと謎な部分は多いので、いくつかの点について考えてみたいと思います。
不合理な行動は、ホラーあるあるとして扱わず。
心理学的な視点も一切ございません。


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考察:これは実は、国家ぐるみの陰謀論だ(ネタバレあり)

凶暴化の原因と変化(プラスおまけの突っ込みポイント)

原因は綿毛……と見せかけて、水……と見せかけて、キノコでした。
スタキボトリスという物質を含むカビと混合した、青キノコ。
「薬品とキノコを合わせる」という謎実験の目的は、置いておきます。
キャンピングカーの集団が何者だったのかも、推察できる手がかりがほぼ皆無なので、置いておきます。

とにかく、キノコ。
悪いのはすべて、キノコでした

それは揺るぎない事実として、その症状は、

  • 人体や脳に致命的な打撃を与える
  • 肺の大量出血による吐血
  • 強烈な幻覚と凶暴化
  • 記憶障害も招く

と説明されていました。

ここからは、結局重箱の隅を突くような突っ込みになってしまいますが、あまりにも整合性が取れていなかったり説明不足だったのが、以下の点です。
突っ込まずにはいられない

  • 発症までの時間:序盤は、キノコエキス配合の水を飲んでしばらく経ってから発症していましたが、後半は速攻。まぁここは、「何が原因なんだ?」と思わせる前半から、パニックのスピード感重視の後半に移った演出の都合でしょう
  • 運動神経も向上?:ミシェルだけ、凶暴化したら柱をよじ登るぐらい、とてもアクティブになっていました。一方のクリスティは、プールサイドもよじ登れないレベル。これは、運動能力が向上するわけではなく、ただ元々の体力の差でしょうか。ストッパーが外れて潜在的な力が発揮されはするのかも
  • 凶暴化していると襲い合わない理由不明
  • 後半はあまり黒い液体を口から吐き出さなくなった理由不明
  • みんな「うがぁぁぁ!」だけなのにウィルだけ言葉を失っていなかった理由不明
  • 肺から大量出血しているらしいのに、元に戻ったら何も影響なさそうな理由不明
  • 脳に致命的な打撃を与えるらしいのに、元に戻ったら何も影響なさそうな理由不明
  • ウィルは凶暴化しても視力悪いままかわいそう

これらはすべて、「そういうものなんだ」として捉えましょう。

ミシェルの凶暴化ビジュアルは、ゲーム『バイオハザード7』のミアを思い出しました(余談)。
Prime Videoの「慌てたクリ」で終わっている文章は、「かゆい うま」のオマージュで、バイオハザードっぽいゾンビっぽいのが出てきますよ、という伏線か?(違)

ついでに、おまけの突っ込みポイント

  • 遠くから見てたり侵入してきた大男は何だったのか?:キャンピングカーの父親だったようですが、侵入は結局ただの下着泥棒目的?(一番やばい奴だったんじゃ)
  • 冒頭で車を止めて「子供たちを入れるな」と警告した目的:危ない実験をしている都合で、キャンプ場を使われるとまずいと思ったから?にしては、その後、結局また戻ってきたのに気がつかなかったとも思えませんが……
  • キャンピングカー組が凶暴化していた理由:実験で作った薬を飲んでみた?「暴れてカルロスを殺した」「それが最初だ」みたいに言ってましたが、お母さんとか複数人凶暴化していた理由は不明

3名の行方不明者

映画冒頭は、ニュースから始まります。
いわく、「キャンプ指導員としてスペイン北部に来たアメリカ人3名が、数日で消息を絶ち、行方不明になっている」というもの。

……3名?

つまり、誰か1人は行方不明になっていない(見つかっている)、ということになります。
これは、可能性としては以下の選択肢が浮かびます。

  1. スペイン語が堪能だったアントニオは地元民として住んでいて、カウントされていない
  2. 森で死んだ3人のうち1人だけ見つからないというのも不自然なので、建物内で死んでいたアントニオだけ見つかった
    →キャンピングカーの家族の生き残りがいて、正気に戻ったあと、森にあった3人の遺体を証拠隠滅で片付けた?
  3. 最後の「来やがれ」のあと、実はウィルは生き残った

整合性としては1か2が説明がつく気がしますが、個人的には3を推したい

……と思ったのですが、ここでふと思い立ってオープニングを確認したところ。
ニュースの音声に合わせてキャンプ指導員のIDカードみたいなのが映りますが、アントニオの「NACIONALIDAD」(スペイン語で「国籍」)の部分が、「ESP」つまりスペインとなっていました(他の3人は「U.S.A」)。

……ただ単純に、アントニオはスペイン人でした。
名前の響きからも区別でき、アメリカだと「アンソニー」になるようです。

陰謀論

「アメリカ人3名」の謎は解けました。

では今度は、なぜ「行方不明」なのか
あの状況で、遺体が見つからないとも考えにくいです。

「これから何が起こるんだろう」という雰囲気を高めるための、ただのオープニングの演出だろう、という正論はあえて採用せず、ここでは「国家ぐるみの陰謀論」を提唱したいと思います。

走っている車の前に立ちはだかり、放尿した大男は、明らかに様子がおかしかったですよね。
そして、「ヤク中どもに話をつけてくる」と言っていたアントニオ。
大男は、「何かやばい系のキノコ」でトリップしていたのではないかと思います。

そして、そのキノコにカビ(スタキボトリス)が混合すると、動物を凶暴化させる作用が生まれる(井戸で育てていたやつ?)。
そのカビキノコに薬品を合わせて、クスリの形にする実験をしていた。

クスリを摂取すると、凶暴化する。
さらに、一定時間が経過すると解除される。

これはまさに、戦争のときに大麻を使用していたような、軍事に応用されそうな研究ではないでしょうか(それこそバイオハザードのような)。
記憶も残らないので、PTSDにもなりません。
もう少し理性を維持することが可能になれば、攻撃性だけを高めることができます

「過去、1978年のインディアナ州で、同様の悲劇が起こっていた」という事件をヒントに、国家(スペイン)ぐるみでの軍事研究が始まった。
そのため、感染したウィル、ミシェル、クリスティの遺体をアメリカに返すわけにはいかないので、「行方不明」として処理した。

そうすると、上述したキャンピングカー家族の謎も、整っていた設備も、行方不明の謎も、すべて解けます。

そんな陰謀論、意外としっくり来ませんか?

子どもたちのシーン

個人的に(ある意味)一番怖かったのが、最後、キャンプ場に来た子どもたち(なぜか先頭はぽっちゃり集団)がいきなり猪突猛進、猛ダッシュで突入してきたシーンです。

「えっ、何で?何でこんな猛ダッシュで水に向かうの?」

と呆然としてしまったのですが、遡って映画冒頭、以下のような会話がありました。

「明日子どもたちがきたら歓迎の儀式をする」
「夕食を賭けて目隠しで森を走らせるとか?」
「フクロウの噴水の水を飲むんだ」

おそらく「早くフクロウの水飲み場にたどり着いて飲んだ者が勝ち」みたいなことが、子どもたちにも伝わっていたのかと思います。

まさかのしっかりとした伏線!(?)

最後、ウィルたちも一緒に水飲めば助かっただろうに……。
いやいや、そうだ、ウィルは「来やがれ」で生き残ったんでした

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