【映画】チャイルド・プレイ(2019)(ネタバレ感想)

映画『チャイルド・プレイ(2019)』のポスター
(C)2019 Orion Releasing LLC. All Rights Reserved. CHILD’S PLAY is a trademark of Orion Pictures Corporation. All Rights Reserved.
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作品の概要と感想(ネタバレあり)

映画『チャイルド・プレイ(2019)』のシーン
(C)2019 Orion Releasing LLC. All Rights Reserved. CHILD’S PLAY is a trademark of Orion Pictures Corporation. All Rights Reserved.

少年アンディに母親からプレゼントされたバディ人形チャッキー。
AIの搭載されたチャッキーは、徐々に異常な言動を見せ始める──。

2019年にアメリカで製作された、1988年の名作ホラー『チャイルド・プレイ』のリブート作品

元祖『チャイルド・プレイ』の記憶は若干曖昧であり、シリーズも全部追えているわけではないのですが、リブート版『チャイルド・プレイ』は、現代に合わせてかなりうまく再構築されているように感じました。
ただ、突っ込みどころはこれでもかというほど満載なので、ホラーコメディ寄りでしょうか(もともとそうかも)。

以下、元祖『チャイルド・プレイ』のネタバレも多少含まれますので、念のためご注意ください。

元祖と比べて、リブート版の大きな違いは、やはりAIの搭載でしょう。
それにより、「殺人鬼の魂がグッドガイ人形チャッキーに乗り移った」というオカルティックな設定が、「リミッターが外されたバディ人形チャッキーのAIの暴走」という現実的な恐怖に変わりました。

この点が、元祖ファンには賛否両論かもしれません。
ただ、チャッキーがIoT化されたことにより、一気に殺害パターンが広がったところがリブート版の注目ポイントです。
元祖チャッキーは、あくまでも「人形の身体」という縛りがあったので、襲いかかったり殺害の方法に限界がありました。

しかし、あらゆる家電と繋がり連動させることによって、怖がらせる演出も、殺害方法も、一気に幅が広がりました。
まるで魔法を操るように指を振り、あらゆる道具を使ってピタゴラスイッチのごとく犠牲者を追い詰めていくその姿は、チャッキーというより『オーメン』のダミアンであり、『ソウ』のジグソウです。

そう、つまりリブート版におけるチャッキーは、「AIの暴走 × ダミアン × ジグソウ」なのです。

元祖の「殺人鬼チャールズ・リー・レイの魂が、人間の身体を手に入れるためにアンディを襲って儀式を行う」といったオカルト要素はすべて吹き飛びました。
リブート版では「人形が怖い」というより「AIの暴走が怖い」というよくある方向性に。

しかし、もともと元祖もどれだけ怖いかという点は、微妙なところ。
動き出すまでが不穏で不気味さがありますが、いざ動き出すと、やや単調さもありました。
「はっきりわからない」前半の方が不気味で、実際に動くチャッキーを目にすると、殺されるという直接的な恐怖要素のみになり、その動きには下手をすると愛らしさすら感じます。

そこがリブート版では、あくまでもAI搭載の機械の人形として、誤って情報を処理し、そのまま無感情に何の非もない他者を殺害し始めるという、どちらかというと「冷酷な殺人鬼」というスプラッタ的な方向に舵が切られています。
今まで通り人形としてのチャッキーでは、やはりどうやっても元祖は超えられなかっただろうと思いますし、あえて大きく方向性を転換したことは、個人的には成功だったと思っています。

ルーニー(猫)とドリーン(刑事のお母さん)だけは、かわいそうでしかありませんでした。
特に、レザーフェイスイカ(勝手に命名)のプレゼントの件といい、ドリーンの巻き込まれ具合はあまりにも同情。
ただただ忠実に親友を求めていたリブート版チャッキーも、かわいそうと言えなくもありません。

あまり必要性のない猫の死は、無駄に敵を作ってしまったのではないかと危惧します。
が、その断末魔の声をスピーカーから流したり、人々が悪口を言ったりしている映像を見せて仲違いさせようとするところなどは、とても冷酷な知的さを感じさせ、好きな演出です。

しかしまぁ、そんな真面目に考えるような作品ではなくて、突っ込みを入れながら暴走チャッキーによるスプラッタショーを楽しむというのが本作の正しい嗜み方。
後半は、突っ込んでいきましょう。


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もやもやを吹き度ばせ!(ネタバレあり)

映画『チャイルド・プレイ(2019)』のシーン
(C)2019 Orion Releasing LLC. All Rights Reserved. CHILD’S PLAY is a trademark of Orion Pictures Corporation. All Rights Reserved.

たまにやっているこちらは、突っ込みどころに突っ込みながら「そうだよねそうだよね」という共感を得て作品を楽しむコーナーです。
決して批判的なニュアンスではなく、楽しんでいます。

スマート家電の覇者・カスラン社

本作の世界では、AppleもGoogleも姿も形も見えません。
スマート家電市場は、カスラン社の独占状態のようです。

と、見えますが、よく見ると使われていたスマホがちょいちょいiPhoneっぽい感じでした。

しかも、冒頭のバディ人形の宣伝映像でも、使われていたのはどう見てもiPhone。
そこはカスラン社製じゃないんですかね

そういう適当なところ、好きです。

チャッキーのデザイン

超高性能AIが搭載されたバディ人形。
最初の宣伝映像の時点で誰もが感じるのは、

かわいくない

とにかく、かわいくない
とはいえ、海外の人形を日本人がかわいいと思うこともあまりないかと思いので、そこは文化差かもしれません。

かわいさと恐ろしさのギャップが元祖チャッキーの魅力の一つでしたが、リブート版チャッキーは普通の状態ですでに怖い
この記事の冒頭で、「元祖とリブート版の一番の違いはAIの搭載」と書きましたが、やっぱりチャッキーのデザインが一番の変化です

しかし、アメリカではあれはかわいく見えるのでしょうか。
バディ人形2のクマデザインあたりはぎりぎり許容範囲であるとしても、「バディ!バディ!」と熱狂的にコールして、発売開始と同時に「福男選び」並みにスタートダッシュを繰り広げるお客さんたちの方が、チャッキーよりもよほど狂気的に見えました
もはやカスラン社に脳も乗っ取られているのでは。

チャッキー誕生の秘密

凶悪な殺人人形チャッキーはいかに生まれたのか。

物語の肝となり得るこのポイントは、実にいい加減なものでした

まさかの手作り工場!

あんな超精密機械を1体1体ハンドメイド!

突如降りかかるありきたりなパワハラ!

前は路上生活していたらしい割に、迷いもなくパソコンを操作してリミッターを解除していく名もなき謎の従業員!

彼のせいでしかないのに、その後彼は一切登場せず!

ただの従業員でもあっさり制限が解除できてしまうガバガバセキュリティ!

そもそも、行動や暴力制限を解除できる仕様である必要性があったのでしょうか。
もしかすると、秘密裏に軍事用としての運用が想定されていたのかもしれません。

とまぁ、ものの5分程度で終わらせる雑なチャッキー誕生秘話からは、「細かいことは気にしないで、チャッキーの殺戮を楽しんでくれよ」という製作側の強烈なメッセージを感じます。
潔い。

レザーフェイスイカのプレゼント

個人的にお気に入りなのが、クズ男シェーンの顔の皮を被せたスイカのプレゼントです。
上述した通り、レザーフェイス + スイカで「レザーフェイスイカ」と名付けました。

正直、めちゃくちゃ肌が綺麗すぎて、最初本物のシェーンの顔だとはわかりませんでした。
芝刈り機みたいなやつにだいぶ顔削られてたと思うんですけど、けっこうしっかり綺麗に残ってたんですね

そして何より、ちょっと焦点は合っていませんでしたが、潤い溢れる瞳
死んだら眼球は水分が失われて萎んでいくはずですが、きらっきら輝いていました。

あと、ホワイト感抜群の歯
目も歯も、どうやって固定してあるんですかね。
めちゃくちゃ雑な割に、死体の頭蓋骨からはしっかりと歯が抜いてある細かさがまたたまりません。

突然の変態と切れ味抜群の刃物たち

本作で一番危なかったキャラクタは、チャッキーよりも、バディ人形に熱狂する客たちよりも、防犯カメラのメンテナンスをしていた彼でしょう。
最初から怪しさは放っていましたが、まさかのど変態というか、各部屋をカメラで盗撮する犯罪者でした。
特にアンディママがお気に入りだったご様子。

転売目的で、やっとこさアンディが処分したチャッキーを修復。
典型的な、余計なことをしてくれるヤツです。
まさに手術台といった雰囲気のライトもイカしていましたが、あのノコギリ何?としか言いようのないオブジェ。
何度まで設定できるん?という暖房器具(?)。

それらのピタゴラスイッチで犠牲となった彼は、登場時間が短い割に、訳のわからない強烈な個性を残してくれました。

そして、あのノコギリと、終盤にマーケットの中で飛び交っていた翼が刃物でできた飛行機ドローン。
人の肉を抉っても止まることを知らないパワーと切れ味は、まさに殺人のための道具。

Let’s play a game.

終盤の、巨大な換気扇の影を背景に拘束されているアンディママ。

その姿を目にしたときには、もう、どう見ても『ソウ』でした
オマージュなのかな?レベルです。

クレーンが上がって首吊り状態になっていくところなんかは、完全に「Let’s play a game.」の声が聞こえましたし、あの曲が流れてきてもびっくりしなかったと思います。
『チャイルド・プレイ』でプレイするのは、ジグソウのゲームだったのか?



以上のように、「細かい部分は気にすんな!現代版チャッキーのはちゃめちゃ具合を思う存分楽しんでくれよな!」という方向性がとてもわかりやすくて好きです。
「続編は作らねぇ!」とばかりにすでに壊れたチャッキーをフルボッコにして、思わせぶりな不穏さをまったく残さないラストシーンも、とても潔い。
が、やはりデザインが大きく変わったのと、「チャッキー怖い」じゃなくて「AI怖い」になってしまったところは、『チャイルド・プレイ』ファンだったら複雑さも感じるだろうなと思いました。

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