【映画】ドント・ブリーズ(ネタバレ感想・心理学的考察)

映画『ドント・ブリーズ』のポスター
(C)2016 Blind Man Productions, LLC. All Rights Reserved.
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作品の概要と感想(ネタバレあり)

映画『ドント・ブリーズ』のシーン
(C)2016 Blind Man Productions, LLC. All Rights Reserved.

親元を離れ、街から逃げ出すための資金が必要なロッキーは、恋人のマネーと友人のアレックスとともに、大金を隠し持っていると噂される盲目の老人の家に強盗に入る。
しかし、その老人は目が見えない代わりに、どんな音も聴き逃さない超人的な聴覚をもち、さらには想像を絶する異常な本性を隠し持つ人物だった──。

2016年製作、アメリカの作品。
サム・ライミが製作で、リメイク版『死霊のはらわた』のフェデ・アルバレスが監督。

原題も同じく『Don’t Breathe』。
直訳すれば「呼吸するな」ということですが、まさにその通り、盲目の老人は音に敏感なので、微かな呼吸の音すら命取り
恐怖というよりも、ゲーム『メタルギア・ソリッド』のような緊張感。
観ている方もついつい呼吸を止めてしまいます。

とても楽しめた作品でした。
細かく見ると「え?何で?」と思うポイントも少なくないのですが、それを感じさせないほど、あるいは深く考える暇がないほど、テンポ良く展開していきます。

観る前はけっこう豪華な家を想像していたのですが、思ったより狭くてボロボロな家。
しかし、広い1階、狭い2階、闇の地下、狭い通気口と、家中をフル活用して次々と新しい場所で異なる演出を繰り広げ、飽きさせません。
暗闇の中、優劣が逆転する構図は最高でした。

冒頭の、老人が女性を引きずっているシーン。
「あれ、ロッキーだったんだ」という回収の仕方も綺麗でした。

強盗が侵入して返り討ちにあう、というのは『ホームアローン』的展開で珍しいわけではありませんが、家主が聴覚に優れた盲目の老人、というところが斬新。
盲目なので、一見すれば強盗側が有利ですが、異常なまでの聴覚に、軍人時代に鍛えた格闘術と銃の扱い。
そしておそらく鍛え続けていたのでしょう、老人とは思えないほど鍛え上げられた肉体。
そのギャップが、新たなアイコンになり得るキャラクターを生み出しました。

とにかく、音を立ててはいけない、というのが絶妙な緊張感を生んでいました。
『クワイエット・プレイス』なども、「姿は現してもいいけれど音を立ててはいけない」という緊張感は同じですが、『ドント・ブリーズ』は相手が人間というところが面白い。

でも、これも軍人時代に鍛えたのでしょうか、おじいちゃんも気配がなさすぎです。
無音で気がついたら近くにいるおじいちゃんは、恐怖そのもの。

M・ナイト・シャマラン監督の映画『ヴィレッジ』では、主人公が盲目であることに、ストーリーの潜在的な部分で意味があると考察しました。
しかし、『ドント・ブリーズ』では、そんな深い意味などありません。
「盲目のくせに、じいちゃん、とんでもなく強ぇ!」というギャップ萌えのためというのがすべてです。

しかしまぁ本作の一番の問題点は、登場人物たちがみんな共感しづらいところですね。
「劣悪な家庭環境から妹を脱出させたい」というロッキーの動機が何とか正当化を試みていましたが、どう言い訳したとて強盗は強盗。
さらにはおじいちゃんも、本性を現すほどに狂気が目立ち、「子どもを産ませようプロジェクト」が明らかになったところを大きな転換点として、応援する気持ちが薄れていってしまいました。
どっちもどっちな争い。

どれだけシステムを強固なものにしたとしても、抜け穴を作るのはいつも人間です。
窃盗を繰り返していたアレックスたちも悪いですが、さらに罪深いのは、経営者であったとはいえ自宅に顧客の家の合鍵を保管していたアレックスの父親でしょう。

ロッキーがお金を持って逃げ切ったのは何だかすっきりしませんが、ホラーの王道を行く「まだ終わっちゃいないよ」な終わり方だったので、2も観てみたいと思います。

ちなみに、劇中では出てきませんが、おじいちゃんには「ノーマン・ノードストローム」という名前がちゃんとあるそうです。

すごくどうでも良いのですが、別に顔がめっちゃ似ているわけではないのに、アレックスがウエンツ瑛士に見えて仕方ありませんでした。

後半では、おじいちゃんの心理や目的、その他細かい疑問点などについて考察します。


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考察:盲目の老人の心理やいくつかの疑問点(ネタバレあり)

映画『ドント・ブリーズ』のシーン
(C)2016 Blind Man Productions, LLC. All Rights Reserved.

盲目の老人大解剖

おじいちゃんの心理と目的

盲目でも軍人仕込みの最強おじいちゃん。
彼は、実にかわいそうな過去を背負っていました。

まず、湾岸戦争でイラクに行き、手榴弾の破片で失明
おそらくそれによって退役しました。

戦争で戦った兵士たちにおいて、終戦後・帰還後にPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症する人たちは少なくありません。
PTSDについては、もう広く周知されていることもありここでは省きますが、映画『ゴーストランドの惨劇』の考察で触れています。
おじいちゃんも、戦争体験に加えて、後天的に両目を失明するという非常に衝撃的な体験をしており、PTSDを発症していたかはさておいても、それだけでもとても辛い精神状態にあったはずです。

しかしきっと、彼の支えになったのは娘の存在です。
奥さんについては触れられていないのでわかりませんが、写真も飾ってあったのでおそらく離婚などではなく、早くに病気や事故で亡くなったりしたのだと推察されます。

そんな娘が、交通事故の被害者となり、亡くなりました。
おじいちゃんの悲しみは、察するに余りあります。
アルコールなど、何かへの依存性になってもおかしくないほどですが、娘が子どもの頃の映像を見ながら寝落ちしていた姿は、胸を打ちます。

おそらく娘を失ったあたりから、おじいちゃんの精神状態は完全におかしくなっていったのでしょう。
生きる意味や目的を失った彼は、交通事故の加害者であるシンディを拉致監禁しました。
盲目のおじいちゃんが、果たしてどうやってシンディを見つけ、見つからないように拉致監禁したのかはわからず、「何とかしたんだな」と考えるしかありません。

そして彼は、シンディに「娘の代わり」となる子どもを産ませようとします。
しかも、レイプするわけではなく、冷凍保存していた自分の精液をスポイトで注入するという方式。
斬新な発想で、まさに狂気。
とにかく「子ども」だけが目的であることがひしひしと伝わってきます。

ただ、普通に考えて、加害者が産んだ子どもを純粋に愛せるかという疑問が生じます。
この発想の時点ですでに、おじいちゃんがいかに「子ども」にとらわれ、精神状態がおかしくなっていたかが窺えるでしょう。

そう考えると、「子どもを産んだらシンディは解放するつもりでいた」という言葉も、実際にそんなことをしたら自分が逮捕される可能性が高まり、その場しのぎの言い訳であったようにも聞こえましたが、本当にそうするつもりだったのではないかとすら思えてきます。

ボロい家の割に強固な警備システムや、南京錠などを使って出入り口を必要以上に封鎖していたのは、大金が置いてあるというのもありますが、万が一にも誰かが侵入してきてシンディを見つけたり、シンディが逃走するのを防ぐためだったのでしょう。

なぜマネーを殺害したのか

おじいちゃんはマネーを殺害したあと、「やっちまったぜ」といった様子で壁をどんどんと殴ります。
それはなぜかと言えば、殺したくはなかったからです。
では、なぜ殺したくなかったのに殺してしまったのか。

それは、その場の勢いだけではありません。
初めて侵入者の存在に気がつき、銃を構えるマネーと向かい合った際、おじいちゃんは地下に通じるドアがこじ開けられているときに気がつきました。

そしてそのとき、マネーは

「その中のものをいただきに来たんだ」

と言います。

そして、実際に地下にあったものとは、お金ではなくシンディ

そう、つまりおじいちゃんは勘違いしたのです。
「金を奪いに来たぜ」というマネーの台詞を、「シンディを奪いに来たぜ」と勘違いしたのです。

ただ、それだけで殺害するのはやや飛躍しており、完全におじいちゃんが殺人鬼に見えてきます。
しかし、これもまた、そうではありません。

マネー殺害の引き金を引いた(文字通り)のは、「神に誓って……」という、許しを乞うマネーの言葉でした。
この言葉によって、おじいちゃんは衝動的に引き金を引いたのだと推察されます。
この意味については、次の項で詳述します。

もしかしたら、マネーが「金を寄越せ」と具体的に言っていたら、おじいちゃんはおとなしく渡していた可能性もあったかもしれません。
お金も必要ですが、彼の第一目的はあくまで子ども。
そのためには面倒ごとが一番嫌だったはず。

なので、マネーの殺害後、壁ドンしていたのは、「面倒なことになった」という苛立ちでしょう。
決して、殺したかったわけでも、殺するつもりがあったわけでもなかったのです。

マネーを殺害してから、まず最初に窓を板で塞いだりしたのは、殺害後の行動としては一見やや不自然でした。
考えられる一つの可能性は、「侵入者は自分1人だけだ」というマネーの言葉を信じておらず、他にも侵入者がいると思ったのかもしれないこと。
もう一つの可能性は、あの時点でシンディがどうなっているのか(侵入者によって拘束が解放されているのか)わからなかったので、逃がさないようにするためであったと考えられます。

ただ、その後、靴を発見したことで他の侵入者の存在に気がついたようでもあったので、後者の方が可能性は高いでしょうか。

アレックスやロッキーの存在を察知してからは完全に殺戮モードになったのも、通報されたら面倒なことになるので、「秘密を知ったからには生かしちゃおけねぇ」モードになったためです。
マネーの殺害については、作中で話題に出てきたように「強盗を撃ち殺しても罪には問われない」はずですが、おじいちゃんが通報しなかったのはやはり、警察が家に来ることを嫌ったのでしょう。

神などいない

おじいちゃんは、「神」という言葉に敏感です。

監禁され思わず「神様」と呟いたロッキーに対して、おじいちゃんは「神だと?神などいない」と、やや怒りを滲ませた様子で返します。
さらに、「神など悪い冗談だ」「いるなら、こんな不正をなぜ許しておく?」と続けました。

「こんな不正」というのは、細かくは後述しますが、シンディが無罪になったことを指していると考えられます。
罰せられるべき存在が、罰を免れている。

しかし、その事実だけであれば「神の怠慢(神はいるけれどサボって罪人を罰していない)」として考えることも可能です。
つまり、おじいちゃんにとって「神がいない」という結論に至ったのは、そのことだけではないはずです。

戦争に行き、両目の視力を失ったこと。
妻を失ったこと。
そしてさらに、娘を失ったこと。

もともとの信仰心はわかりませんが、もし昔は信仰心があったとしても、これらの悲劇が重なったことで、もはや「苦難は神からの試練だ」といった捉え方はできなくなり、「神なんかいないんだ」という結論に至ったとしても、不思議ではありません

そう考えると、「神などいない」というおじいちゃんは言葉は、さらっと発言していましたが、深い悲しみが込められたものであったのだろうと想像されます。

上述したマネーの殺害も、これで理解しやすくなります。
「神に誓って……」というマネーの言葉。
神なんかいないという怒りに、犯罪者が神を口にすることの怒り。
それらの怒りによって、衝動的に引き金を引いてしまったのだと考えられます。

なぜ「襲撃者は2人」「強盗被害はない」と言ったのか

事件の翌日、ロッキーが空港のテレビで強盗事件についてのニュースを見ていたラストのシーン。
そのニュースでは、

「家主は身を守るために戦い、襲撃者2人を殺害しました」
「強盗被害はない模様です」

と報道されていました。

襲撃者の人数や強盗被害の有無については、被害者本人に聞かない限り、たった1日では警察もわからないでしょう。
映像ではおじいちゃんは酸素ボンベらしきものをつけられていましたが、「負傷したものの今は容体も安定」「すぐに退院し自宅に戻れるとのこと」とも流れていたことから、襲撃者の人数や強盗被害については自分で話したと考えられます。

警察に真実(ロッキーという3人目の存在)を話さなかった理由は一つだけで、自ら探し出して捕まえるつもりだったからです。
警察に頼っても意味がないことを、罪人の罪を裁いてくれる神などはいないことを、おじいちゃんは知っていました。
それならば、自分でやるしかないのです。

捕まえてどうするつもりだったのかまではわかりませんが、きっと復讐などではなく、変わらずに「子どもを産ませる」ことだけを考えていたのでしょう。

ニュースのあと、ロッキーと妹が空港から出発するために飛行場へと向かう背後に、おじいちゃんらしき影が一瞬映って映画は終わります。
殴られまくり、かなりの高さから落下した上、暴発した銃の弾が脇あたりに当たり、酸素ボンベが必要なぐらいであったのに、「すぐに退院し自宅に戻れる」状態で、たった1晩でロッキーの居場所を突き止めたおじいちゃん。
不死身で無敵です

その他細かな考察ポイントや疑問点などいくつか

示談金と無罪判決

娘の交通事故に際して、おじいちゃんは多額の示談金を受け取りました(それが家にあったお金)。

たぶんアメリカも同じですが、示談金は、加害者と被害者の間で損害賠償についての話し合いが行われ、双方の合意のもとに支払われる賠償金です。
つまり、お金で片をつけるというわけではないですが、それなりに和解した印として捉えられます。
判決には示談の有無も反映され、示談が成立してる場合は刑罰が軽くなることもあります。

一方、被害者が「どうしても許せない、お金なんかいらない、それよりも重い罰を受けてほしい」という場合、示談を受け入れず成立しないことももちろんあります。

しかしおじいちゃんの場合、示談金を受け取っているのです。
それもかなりの額。

もちろん、退役軍人で盲目、そして独り身となった彼には、お金が必要だったでしょう。
示談が成立したとしても、怒りや悲しみが消えるわけではありません。
しかし、示談金も受け取っておきながら、シンディを拉致監禁して私的制裁を加えるというのは、明らかに暴挙であると言えます。

ただ、示談が成立したことで不起訴になることはありますが、「無罪」になることはありません。
無罪とは、本当は加害をしていない、あるいは証拠がなく証明できない場合です。
示談によって、刑罰が軽くなることはあっても、無罪になることはないのです。

シンディが無罪になった理由は不明であり、シンディが自らアレックスたちに見せてきた新聞記事からも「危険運転致死傷罪で無罪になった」という見出ししか読み取れません。
無罪となる妥当な理由として考えられるのには、以下のものがあります。

  1. 実際はシンディが加害者ではなかった
  2. 証拠が不十分だった
  3. 心神喪失の状態だった
  4. 車に欠陥があったなど、シンディのせいではなかった

1は、アレックスとマニーが地下でシンディを発見した際、罪を認めていた(「娘を殺した子よ」というマニーの言葉に頷いていた)ことから否定されます。交通事故の犯人を間違えるというのも考えづらいことです。
2も、交通事故で検挙されておきながら証拠が不十分ということはまず考えられません。
3も、地下で出会ったシンディの様子から否定されます。
そして4も、それがあれば大々的にそのことが報道されたはずです。

つまり、シンディが無罪になる妥当な理由が見つかりません。
それでも無罪になったということで考えられるのは、そう、お金持ちの父親がお金で解決した、という可能性です。

捕まえて地下室に監禁したロッキーに対して、おじいちゃんは「彼女(シンディ)は刑務所に行くべきなのに金で免れた」と話していました。

この「金」というのを、示談金を指しているととらえると、おかしなことになってしまいます。
「示談が成立した影響で執行猶予になり、刑務所に行かなかった」ということはあり得ますが、それを「金で免れた」と表現するのは暴論です。
そもそもシンディは無罪でしたが、上述した通り、示談金で無罪になることはありません。

そのため、このおじいちゃんの台詞は、お金の力によって無罪を得たことを裏付けるものになります。

上述した「神がいるなら、こんな不正をなぜ許しておく?」の「不正」というのも、そのことを指しているのだと考えられます。
娘を殺しておきながら、お金の力によって刑罰を受けることもなく、無罪になってのうのうと生きている。
そんな奴を、神は何ら罰することなく、野放しにしている。
「罪を罰する神がいないのならば、自ら罰を与えよう」と思ったのでしょう。

もしそうだとすれば、行動の是非はさておいて、おじいちゃんがブチ切れるのも納得です。

なぜおじいちゃんには睡眠ガスが効かなかったのか

マネーが仕掛けたお手製催眠ガスにもかかわらず、おじいちゃんは余裕の姿で登場しました。

考えられる可能性の一つは、すぐに気がついて部屋を出たということ。
もう一つ考えられるのは、お手製睡眠ガスが失敗作であったということ。

さらにもう一つ考えられるのは、おじいちゃんに睡眠ガスへの耐性があったという可能性であり、個人的にはこちらを推します。
きっと軍人時代の過酷な訓練の中で、薬物への耐性を習得していたのです。

そう考えると、おじいちゃんはそれなりにエリートであった可能性も考えられます。
しかし、おじいちゃんの家には大量に飾られた娘や家族の写真がありましたが、その中の一つが逆さまになっていました。
気がつかなかった、気がついても指摘しなかった、という可能性もありますが、しばらく誰も家に来ておらず、ずっと1人なんだろうなと思わせる演出で、おじいちゃんの孤独をさらに強く感じさせる演出です。

おじいちゃんはなぜアレックスたちの靴を見つけたのか

くんくん。

おじいちゃんは、聴覚だけなく嗅覚も鋭くなっていたのでしょうか。

アレックスたちの靴は、匂いによって見つけました
靴まではかなりの距離があったため、あの距離で気がついたとすれば、かなり敏感な嗅覚も持っていたことが推察されます。

しかし一方で、息を殺したアレックスに触れそうなほどすれすれを通ったりした際には、彼の存在にまったく気がつく様子はありませんでした。
その他のシーンも同じで、嗅覚が活かされた場面は、靴の発見シーン以外にはありません。

ぎりぎり、催眠ガスには匂いで気がついて跳ね起きた可能性も考えられますが、人間に対する嗅覚はまったく発揮されていませんでした

そう考えると、高い可能性は、おじいちゃんの嗅覚が超人的なものであったというわけではなく、誰かの靴が臭かったという可能性です。
あの距離でも気がつくほどの、強烈な匂い。

靴が見つからなければアレックスとロッキーの存在はバレなかったかもしれないと考えると、誰かの靴が、とても罪深い存在だったことになります。
それがアレックスやロッキーであれば、まぁ自業自得というかしょうがなかったね、で終わりますが、もしマネーの靴だったとすると、あの「侵入者は俺1人だけだ」と最後までロッキーを守って死んでいった勇姿が、少し掠れてしまうのでした。

犬はどこから入ってきたのか

途中から家の中に現れ、おじいちゃんの目となり大活躍を見せた犬
よだれをぶち撒けてとち狂ったように襲ってきますが、どこまでも執拗に追いかけ任務を遂行しようとする忠実さを兼ね備えていました。
軍人仕込みの訓練を受けていたのでしょう。

アレックスたちが侵入する際には、睡眠薬入りの餌ですやすやと眠り無力化されてしまいましたが、後半に家の中に入ってきてからは荒れ狂い、最初の登場シーンでの「この犬めちゃくちゃやばそう」という伏線をしっかり回収してくれます。

さらには、「逃げ出せたのに、捨て台詞を吐く」という、ホラー映画で禁忌の一つとされる大失態を演じたロッキーをしっかりと追い詰めたのも、この犬でした。

しかしあの犬、閉鎖された家にどこから入ってきたのかというのが、ちょっと謎です。

アレックスたちが色々な鍵やドア、窓の破壊を試みていたので、空いていた隙間があったのか。
あるいは、犬専用の通用口があったのか。
このどちらかだったのかな、と考えています。

いずれにしても、犬は通気口まで入り込んで追いかけてくるなど、「静の恐怖」がメインである本作の中で、「動の恐怖」を演出してくれたスパイス的な存在でした。

終盤、車内でのロッキーとの対決シーン。
殴られて「くぅん」と弱々しい声で鳴くなどハラハラさせましたが、最終的には、ベルトのようなものを首に巻きつけられ、行動を制限されました。

あそこで犬を殺していたら、ロッキーは世界中の犬好きを敵に回していたはずです。
絶妙なテクニックでベルトを首に巻きつけるという早業を見せつけたロッキーですが、あんな技、どこで身につけたん。


追記

ドント・ブリーズ2(2022/10/04)

面白かったので立て続けに観てしまいました、続編の『ドント・ブリーズ2』。
続編の感想・考察は以下になります。

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