【映画】KRISTY クリスティ(ネタバレ感想・考察)

映画『KRISTY クリスティ』のポスター
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作品の概要と感想(ネタバレあり)

感謝祭シーズンの学生寮。
学生たちが続々と実家に帰省する中、帰るためのお金がないジャスティンはたった1人で寮に残ることに。
夜中にスーパーへ行った彼女は、不気味な女と出会う。
女はジャスティンを尾行し、なぜか「クリスティを見つけた」とつぶやく。
恐怖を感じたジャスティンは恋人に電話しようとするが、電波が妨害され「クリスティを狩れ」というメッセージが聞こえる。
やがて女が仲間を連れて寮に侵入してきて──。

2014年製作、アメリカの作品。
原題も『Kristy』。

『Swallow/スワロウ』で一目惚れしたヘイリー・ベネット主演。
もう完全に好きです
何なんですかね、表情と目に不思議なまでの吸引力を感じ、ついつい目で追ってしまいます。
『Swallow/スワロウ』とは異なり、長い髪バージョンが見られました。
序盤の、誰もいない大学寮ではっちゃけて好き放題しているところなんか、とても可愛い。

という個人的な好みはさておき、ヘイリー・ベネット演じる主人公の大学生ジャスティンが謎の集団に襲われる本作。
一番のびっくりは、主人公の名前が「クリスティ」ではなかったことですね。
本名は関係なく、単に象徴的な意味合いだったようです(この点は考察部分で詳述)。

内容は、とてもシンプルな鬼ごっこ&隠れんぼ
テレビでやっている「逃走中」に似ているでしょうか(ほとんど見たことないので印象ですが)。
逃げて、隠れて、見つかって、また逃げて……の繰り返し。
そのため非常に単調ですが、ヘイリー・ベネットのおかげで全然飽きませんでした(しつこい)。
あとは大学のキャンパス内が素敵だったという舞台設定も大きいです。


主人公のジャスティンは、非常に強く聡明で、機転が利き、度胸もありました
突発的に人に出会すと「きゃーっ」と悲鳴を上げますが、それは演技なんじゃないかと思うほど、いざ危機に追い込まれると冷静沈着に犯人グループに対処。
恋人のアーロンを殺されて以降、復讐の怒りに燃えて逆襲する姿は爽快さもあり。
序盤のキャパンスライフシーンで、勉強熱心で頭の良さを窺わせたり、プールで泳いでいたシーンなども伏線だったところは丁寧な作り。
登場シーンは短いながら、アーロンや警備員たちは良い人だったので、殺されてしまいかわいそう。

一方で、犯人グループがかなり間抜けだったので、緊張感はだんだん薄れていってしまいました。
スマホやPCをハッキングしたり、広大なキャンパス内ですぐにターゲットを見つける能力は異様に高かったですが、単独行動をして1人ずつ逆に狩られていく姿は、実に愚か
「たかが女子大生」と舐めていたのでしょうが、仲間が殺されているのを発見してからもまったく緊張感なく、仲間同士ろくに連絡もせずにうろうろしていたのがちょっと不自然でした。

さらに言えば、リーダー格の女性が、ジャスティンの死体を確認もせずにメールだけで済ませていたのも不自然です。
100歩譲っても、ジャスティンの死体の顔に「K」マークを刻み込んで、動画で撮って闇サイトに流す必要があったはず。
めっちゃ疲れてたのかな。
侵入者側が深掘りされていれば、もっと面白い作品になったように思いました。

ただまぁ、犯人グループ側も動機が動機ですからね。
殺人のプロ集団というわけでもない寄せ集めの集団っぽいので、許容範囲でしょうか。

サバイバー側は、登場した人数が少ないこともあってか、愚かな行動を取る人がほとんどいなかったのも良いです。
唯一は、メンテナンス係のスコットでしょうか。
ショットガンがあるなら、わざわざ霧の立ち込める外に出て行かずに立てこもるのが正解でしょうけれど、ラリっていたようなのでしょうがない
無駄に犬が殺されたのは不必要に作品の評価を下げそうですが、直接的には描写されていないので、怪我をしただけかもしれない、と祈るしかありません。


ちなみに、日本では馴染みのない感謝祭(Thanksgiving Day)ですが、ハロウィンとクリスマスの中間あたりの11月の第4土曜日に行われ、家族や友人で集まり食事をして、日々への感謝を捧げる重要なイベントのようです。

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考察:犯人グループとクリスティの謎(ネタバレあり)

犯人グループとクリスティ

鬼ごっこ&隠れんぼがメインであり、設定部分ではだいぶ謎が多かった『KRISTY クリスティ』。
作中で説明されていた以上のことはあまりわかりませんが、簡単に整理しておきたいと思います。

犯人グループは、いわば反キリスト教のカルト集団のメンバーでした。
冒頭の犯罪グループの動画では、「クリスティ(Kristy)」はラテン語由来の女性の名前であり、キリストの信奉者を意味する、と述べられていました。
そして、「クリスティを殺せば神も殺せる」というのが、カルト集団の教義(?)のようです。

付け焼き刃で簡単に調べても、キリスト教に関連して、実際にそういった思想や「クリスティ」という名前の扱われ方は見当たりませんでした。
なので、映画オリジナルの設定なのかな、と捉えています。

上述した通り、「クリスティ」というのは象徴的な名称であり、本名は関係がないようです。
スペルは異なりますが、音的には「christian(クリスチャン、キリスト教徒)」から取っているのでしょうか。

作中から読み取れる範囲では、「清く、美しく、祝福されている」ことがクリスティの条件のようでした。
その他の細かい定義や条件がよくわかりませんが、ジャスティンを襲った犯人グループのリーダー格の女性は、ジャスティンが「クリスティじゃない。どうしてなの?」と問うのに対して「綺麗な髪、いい車」とブチ切れながら答えたり、アーロンの写真を見たときには「いい男」と言っていました。

これらのことからは、内面、容姿、環境の3つが揃って優れているというのが、「清く、美しく、祝福されている」の意味であり、「クリスティ」と認定されることの条件なのでしょう。


また、カルト集団の闇サイトは「FOLD」と呼ばれて「/the_fold/」と記載されていましたが、「the Fold」は「(囲いの中の)羊の群れ」の意味で、転じて「宗教的コミュニティ」を指すようです。
「Return to the Fold」は「(信者として)キリスト教会に復帰する」という意味になります。

キリスト教は、信者を羊に、神や預言者を羊飼いに例えることがあります。
そう考えると、闇サイト「the Fold」に、キリスト教の信奉者である「クリスティ」の殺害動画をアップするということは、まさにキリスト教への冒涜と言えるでしょう。

クリスティを狩り立て、恐怖を味わわせて殺害する。
その儀式殺人が、神を殺すことにも繋がる。
つまりは神殺しが、カルト集団の目的でした。

ただ、闇サイトに動画をアップしていたのは、各地に散らばるカルト信者たちによる「クリスティを殺した」という情報共有の場でもあったと思いますが、追い詰めて怖がらせて殺す様子を純粋に楽しむという、スナッフフィルム的な意味合いもあったのではないかと考えています。
もしかすると、神殺し云々は建前に過ぎず、単純に若く美しい女性の殺害が目的の集団だったのかもしれません
実際、リーダー格の女性は、思想に基づいて儀式殺人をしていたというよりも、満たされた女性に対する個人的な恨みがあるようにも見えました。

「ジャスティンは死んだ。私はクリスティよ」の意味

犯人グループ全員を返り討ちにしたジャスティンが、最後に放つ台詞。
それが、「ジャスティンは死んだ。私はクリスティよ」です。

もう、突然すぎて意味不明で大混乱ですよね
これはどう解釈するべきなのでしょう。

ジャスティンは、犯人グループは全員返り討ちにしましたが、同じような事件を起こしている人間たちがまだ大勢いることを知りました。
闇サイト「the Fold」に、わざわざ「借りは終わった。奴らの負け」というメッセージを送ったのは、明らかにカルト集団のメンバーに対する宣戦布告です。

つまり彼女は、これで終わりではなく、カルト集団を根絶やしにする決意をしたのだと考えられます。
クリスティという名は、カルト集団にとっては、キリスト(神)の信奉者であり、狩りの対象であり、つまりは敵です。
ジャスティン自らがクリスティと名乗るというのは、カルト集団に敵対する存在に自らなることを意味します。

つまり、「ジャスティンは死んだ。私はクリスティよ」というのは、今までの自分を捨てて、カルト集団撲滅に人生を賭ける覚悟を決めたということであると考えられます。

確かに、ジャスティンは恐ろしい経験をして、今後もまた自分が狙われないとも限りません。
恋人であったアーロンや、親しくしていた警備員らも失いました。

しかし、すべてを失ったとまでは言えません。
友人や大学も無事ですし、何より、「会いたい」と泣きながら電話をしていた母親もいるはずです。
なので、正直、ジャスティンを捨てる必要はなく、ジャスティンとして警察に協力してカルト集団撲滅を目指せばいいのでは……?と、思ってしまいます。

「人殺しになってしまった自分」というのが、もう今まで通り生きていくことはできないという気持ちに繋がったのかもしれませんが、「ジャスティンは死んだ。私はクリスティよ」の台詞は、やはり少々唐突なものに感じてしまいました。

ラストシーンについて

最後に、若干わかりづらいエンドロール前後のラストシーンについて。

エンドロール前のニュースでは、「大学襲撃事件唯一の生存者からの情報で、コロラド州警察は3人の容疑者を逮捕」とありました。
「唯一の生存者」は、もちろんジャスティンです。
そして「3人の容疑者」は、ジャスティンを襲撃してきたグループとは関係なく、別のカルト集団メンバーでしょう。

ジャスティンが手に入れた犯人グループの携帯電話によって、儀式殺人を行うカルト集団のメンバーがアメリカの複数の州に存在することが明らかになりました。
3人は捕まえましたが、そのメンバーはまだまだ他にもたくさんいるようです。

エンドロール後の映像は、襲われている女性はジャスティンではありません。
ただ、良い車に乗った裕福そうな若く美しい女性であったため、「クリスティ」認定されているのでしょう。
襲いかかっていたのは、まだ捕まっていないカルト集団のメンバー。
これが過去の映像の可能性もなくはありませんが、おそらくジャスティンの事件後にも、彼らの犯行がまだまだ終わっていないことを示唆するものだったと考えています。
つまりは、今後もジャスティンの戦いは続いていくのです。

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『KRISTY クリスティ』が好きな人におすすめの作品

『Swallow/スワロウ』

異物を食べてしまう異食症を通して、女性の葛藤を描いた作品。
そう、『KRISTY クリスティ』の内容よりも、ヘイリー・ベネットを優先した選出です。

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